大リーグ機構(MLB)は5月末、選手会との新労使協定締結に向けた交渉で、選手の報酬総額の上限を定める「サラリーキャップ」の導入を提案した。チーム総年俸の上限を2億4530万ドル(約392億円)とし、同時に下限(サラリーフロア)を1億7120万ドル(約274億円)に設定した。

今季開幕時点で上限超過はドジャース、メッツ、ヤンキースなど8球団。最高額のド軍は今季4億1520万ドル(約664億円)のため、1億6990万ドル(約272億円)の削減が求められる。

オーナー側の理論では、戦力不均衡を解消するためで、特にドジャースが資金力、戦力ともに一強状態になっていることに懸念の声が出ている。選手会は猛反発。現行の労使協定は12月1日に期限を迎え、交渉難航は必至。サラリーキャップ提案は94年以来で、当時は選手会が7カ月半のストライキを行い、ワールドシリーズが中止になった。

「悪の帝国」とも揶揄されるドジャースは、大谷翔平投手(31)の活躍などで今や巨額の収益を誇るが、わずか十数年前には経営難の時代があった。(日付は米国時間、所属や日本円換算レートは当時)

◆破産(11年6月27日) 経営状態悪化が懸念され、大リーグ機構の監視下に置かれていたドジャースが、日本の民事再生法に相当する連邦破産法11条の適用をデラウェア州の裁判所に申請した。オーナーのマッコート氏の放漫経営に端を発し、球団資産の半分を要求するジェイミー夫人との泥沼の離婚訴訟が拍車をかけ、4億3300万ドル(約347億円)の負債を抱えた。同氏はFOXスポーツとのテレビ放送権契約交渉をセリグ・コミッショナーが認めなかったことが破産法申請に至った原因と主張。ド軍は「チーム運営に混乱は生じない」との声明を発表したが、10人以上の選手に対して年俸未払いだったことも判明した。

◆球団売却(11年11月1日) 手詰まり状況に追い込まれたマッコート氏が大リーグ機構と球団売却に合意したと発表。両者は「裁判所に従って手続きを進める」と共同で声明。本拠地ドジャースタジアムと周辺駐車場まで全球団資産を売却することになった。

◆新オーナー(12年3月27日) ドジャースとマッコート氏は、NBAで活躍したマジック・ジョンソン氏らでつくる投資グループと20億ドル(約1600億円)で球団売却に合意したと発表。04年当時の買収額が4億3000万ドルで、8年後に約5倍の高値となった。黒人初の大リーグオーナーとなったジョンソン氏は「歴史のあるドジャース球団を任されることになり、こんなに名誉なことはない」と声明。現在もド軍の共同オーナーを務めている。