<カブス3-4ブルワーズ>◇3月31日(日本時間4月1日)◇リグリーフィールド【シカゴ(米イリノイ州)3月31日(日本時間4月1日)=鈴木忠平、佐藤直子通信員】カブス福留孝介外野手(30)が衝撃のメジャーデビューを飾った。ブルワーズとの開幕戦に「5番・右翼」でスタメン出場すると第1打席にメジャー初安打、しかも初球。3点を追う9回無死一、二塁から1号同点3ランを放った。チームは延長で敗れたが、全得点をたたき出す3打数3安打3打点の大活躍。日本人野手のデビュー戦アーチは04年松井稼頭央(当時メッツ、現アストロズ)、06年の城島健司捕手(マリナーズ)以来となる3人目の快挙だ。

 福留の打球が歴史を誇るリグリーフィールドを揺らした。3点を追う9回無死一、二塁。マウンドには03年サイ・ヤング賞投手でブ軍の守護神ガニエ。カウント1‐3からの92マイル(約148キロ)直球。鋭く振り抜くと打球は右中間スタンドへ。まるで、おとぎ話のような同点3ランだ。地鳴りのような声援とスタンディングオベーションの中、ベースをまわってベンチに戻ると仲間に押し戻された。熱狂的なファンからのカーテンコールに帽子を取ってこたえた。

 福留「点差もあったし、カウント有利なので引っ張った。1番いい結果といえば、そうでしょうね」。

 わずか1試合で本拠地の主役となった。2回のメジャー初打席、ブ軍先発シーツの初球90マイルの直球をたたいた。中堅の頭上を鋭く破る二塁打。メジャー初打席の初球で、初安打を記録した。第2打席は四球で、7回にはまたも初球を中前へ弾き返した。3打数3安打の出塁率10割デビュー。「ファンの方々の熱い声援はうれしかったけど、やはり勝ちたかった」。チームが敗れたため試合後は1度も笑顔を見せなかったが、まさに独り舞台だった。

 開幕の朝、地元紙には新戦力・福留の特集記事が掲載された。どれも4年総額4800万ドル(契約合意した昨年12月当時は約53億円)に見合う働きができるのかという内容だった。オープン戦は打率2割7分と前評判通りではなかっただけに地元メディアも、ファンも“新人”を値踏みしていた。だが、ヒットを重ねるごとに周囲の視線は一変した。

 記者会見で「野球人生の中で特別な1日か?」という質問が出たが、あっさり否定した。

 福留「日本でやってきたことを変えたつもりはないし、今まで通りの野球をやっているという感覚。僕にとっては違った環境での野球をスタートしたという1日です」。

 これまで多くの日本人選手がメジャーへ渡った。その中で福留が異彩を放つのは「メジャーにあこがれているわけではない」と言う点だろう。

 鹿児島県内の実家には毛筆で書かれた色紙が飾ってある。「夢を夢とするなかれ」―。99年プロ入団当初、当時の星野監督から贈られた。プロとして何かを夢とすれば、そこには届かない。「何かをすごいって思っているうちは絶対にそこにはたどり着けないんだ」。夢を持たないからこそ、夢のようなストーリーを現実にできた。