イチロー「殿馬になられへんかったな~」
<マリナーズ3-2タイガース>◇5日(日本時間6日)◇セーフコフィールド
【シアトル(米ワシントン州)5日(日本時間6日)=木崎英夫通信員】マリナーズ・イチロー外野手(34)がタイガース戦で右前打、投前内野安打を放ち今季23度目のマルチ安打で日米通算3000本安打まで「20」と近づいた。
まず3回裏の第2打席、カウント1-0から内角低め148キロ速球を打ち一、二塁間を真っ二つに割った。第5打席は相手三塁手が無警戒の定位置にいるのを見ると、外角チェンジアップを絶妙のセーフティーバントで稼いだ。
だが、この日は記録につながらない1本の凡打に見せ場があった。5回の第3打席だった。相手先発ガララーガは「イチローは始動が早いから遅い球が効果的だと思った。ビデオを見て試合前から考えていた」と2-0と追い込むと、80キロの超スローカーブでタイミングを外しにかかった。球は内角低めにボール5つも外れる悪球。これをイチローが打ちに出た。
「遅いボールだけじゃなくてもう体に当たりそうなボールでしたから。それを(体勢を)立て直してから足を開いていったわけですからね」。右足で体が流れるのを食い止めてから、今度は思い切り体を開いてまさにゴルフスイングで一発を狙いにいった。結果は特大弾の軌道で舞い上がる上がり過ぎのライトフライ。
「(漫画ドカベンの)殿馬にはなられへんかったな~って、瞬間的に思いました」とイチロー。「殿馬か岩鬼か知らんけど。あれが打てれば、ホームランにできれば秘打ですよね。うん」。劇画の世界を思わせる一打も意識したのはスタンドプレーではない。「まずは僕が楽しいかどうかだからね。それありきだから」。重圧に包まれる日米通算3000本、8年連続200本への道のりにも余裕の瞬間が垣間見えた。
[2008年7月7日9時17分 紙面から]
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