<マリナーズ3-2ヤンキース>◇18日(日本時間19日)◇セーフコフィールド

 【シアトル(米ワシントン州)=大塚仁、木崎英夫通信員】マリナーズのイチロー外野手(35)がヤンキース戦でメジャー日本人初となる逆転サヨナラ2ランで試合を決めた。1-2で迎えた9回裏2死二塁で、リベラの初球カットボールを右翼スタンドへと運ぶ今季10号。17日に続く2試合連続サヨナラ打も日本人初だ。この日、5打数4安打で4厘上げて3割5分7厘。首位打者争いでもトップのマウアー(ツインズ)が2打数0安打で3割7分3厘と1日で5厘縮めた。

 9回裏2死二塁、リベラの初球は内角への148キロのカットボール。イチローのバットがヘッドを効かせて振り抜く。高々と上がった打球は右翼スタンドに吸い込まれていった。感情の変化を一切見せないクールな表情でゆっくりと回るベース。

 「できるだけゆっくり回ろうと。だって初めてだしね。なかなかヤンキースの試合でね。その方がいいでしょう。もったいないじゃん」。ヤンキース相手にサヨナラ劇となればマウンドには守護神リベラがいて当然だった。歴代2位の通算522セーブを挙げ今季40セーブ、この日まで36連続セーブ中の相手を一振りで仕留めた。

 「いや~、なかなか忘れないでしょうね」。リベラとの勝負は引っ張ればバットをへし折られるか空振りを奪われる内角のカットボールをどう対処するかにかかる。内角球を左方向へ運べる技術に秀でるイチローはこれまでの勝負で何度も左を狙ってきた。しかし、この日は違っていた。

 「もうなんか勢いつけていったれ!

 思うて。あそこ(右翼スタンド)に打ってんだからそれを思ってたらいかないわね。まあ、カウントにもよるしね」。

 劇的なサヨナラ弾は前日に続く2試合連続のサヨナラ打だ。

 「昨日があって今日がまたっていうのはね、それが一番なんですよね。で、なかなかそうは考えるものの、結果としては難しいことが多いですから。それが起きたわけですからね。そこが一番ですね」。2日続けて巡って来たチャンスを形にできたことがうれしかった。

 単打でヒーローになった前日は、猛追する仲間から外野の芝生まで逃げた。が、この日は本塁を踏まなければいけない。もう逃げられなかった。右中間二塁打でおぜん立てをした親友スウィーニーを中心にできた輪の中に両太ももを手でたたくポーズで一瞬間を作り飛び込んで行った。球団新記録となるシーズン13度目のサヨナラ勝利。「今日は(逃げ場は)なかったですね。完全に固められましたね」。興奮の収まらないスタンドの観衆の声援に、1度ベンチに下がったイチローが再びダッグアウト前に現れ、ヘルメットを掲げた。9年目で初めての“カーテンコール”にも応えた姿にイチローの歓喜が表れていた。(木崎英夫通信員)