FAシーズンに突入した大リーグにダル待望論が沸騰する。スポーツ専門局ESPN電子版は30日(日本時間10月31日)、「大きな10の質問」とする今オフ注目の話題を特集し、NO・1の関心事項に日本ハム・ダルビッシュ有投手(25)の去就にスポットを当てた。「サバシアが契約破棄せずヤンキースに残留すれば、(FA)市場で最高の先発投手」とベタ褒めした。まだポスティング動向も白紙の状況ながら、米側の評価は青天井。もし米移籍に踏み切れば、06年レッドソックス松坂大輔投手(31)を上回る争奪戦の可能性が高まっている。

 オフの主役は最強左腕サバシアでも最強打者プホルス(カージナルス)でもない。ダルビッシュがその座を奪おうとしている。ESPNはこの日、10の話題をランキング形式で紹介。1位で「ダルビッシュはこのオフ、(大リーグに)魅せられて日本を離れるか?」と、去就表明に目が離せないとした。注目度の高さでは8位のサバシア、10位のプホルスに大差をつけた。

 記事を執筆したのはメジャー取材歴31年、ESPNの「顔役」ともいえるティム・カークジャン氏(54)。「spectacular

 stuff(華々しい才能)の持ち主」と最高級の表現で持ち上げ、「獲得費用は高い」とレンジャーズを筆頭に争奪戦は避けられないと予想。また「最近の日本人選手は大リーグで苦しんでいるが、ダルビッシュは明らかに彼らとは異なる。複数球団で救世主になれる」と賛辞を並べた。

 FA市場での人材難が人気に拍車をかけている。例年なら4~5人いる「エース候補」が今オフは不作で、この日までに確定したFA投手の人気度では、2年連続で15勝以上を挙げた左腕ウィルソン(レンジャーズ)が「1人勝ち」の状況。ただ先発に転向してまだ2年と経験が浅く、長期契約に慎重な球団も多い。ダルビッシュは25歳という若さも魅力的で、右腕では現役メジャーを含めても最高評価を集めている。

 もう1人の大物の動向次第では、入札金額も高騰しそう。米専門誌スポーツ・イラストレーテッド電子版はこの日、サバシアが残る4年9200万ドル(約69億円)を破棄し、FAを選択する意向だと報じた。ヤンキースは契約延長を伝えているが、サバシアは40歳シーズン近くまでの契約保証を求めており、今日31日深夜に迫る交渉期限まで予断を許さない。ヤ軍が在籍3年で59勝を挙げるエース左腕の慰留断念となれば、ダルビッシュに方針転換する可能性が高い。また右腕ラッキーが来季絶望のレッドソックス、来季こそ世界一へワールドシリーズ三度目の正直にかけるレンジャーズなど、資金力のある有力球団が参戦の動きをみせる。ポスティング史上最大の入札合戦に発展しそうなムードが醸し出されつつある。