名門ヤンキースが、ポスティングシステム(入札制度)を利用して大リーグ移籍を目指す西武中島裕之内野手(29)に最高額を入札し、独占交渉権を獲得した可能性が高いことが6日(日本時間7日)、分かった。来季は故障に悩む主砲アレックス・ロドリゲス三塁手(36)の指名打者案が浮上。また主将デレク・ジーター遊撃手(37)の将来的なコンバートにも動いており、中島に両ポジションの「後継者」として白羽の矢を立てた。大リーグ機構は今日7日(同8日)、落札球団を正式発表する。

 中島の落札球団発表は、今ウインターミーティング最大のサプライズになるかもしれない。日本時間3日の締め切りから「少なくても1球団以上」と発表されるも入札球団すら判明せず、米メディアの間で「ミステリー」とされた独占交渉権の行方は、まさかのヤンキースが手中に収めたとみられる。大リーグ関係者がこの日、「落札はヤンキースらしい」と明かした。落札額は250万~300万ドル(約1億8800万~2億2500万円)とみられる。

 ヤ軍は中島への入札を検討する候補球団にも挙がらなかった。不動の内野陣は一塁テシェイラ、二塁カノ、三塁ロドリゲス、遊撃ジーターはそのまま現打線の2~5番を組み、実績、年俸とも30球団で最高の陣容。中島が割り込む余地はないと思われていた。だがこの2シーズンは、プレーオフに進出もワールドシリーズ前に敗退。特に三遊間コンビに年齢的な衰えを指摘されていた。

 ロドリゲスは今季、右膝を手術して16年ぶりに出場試合が100試合に届かず、30本塁打、100打点のメジャータイ記録も13年連続で途切れた。来季は負担を軽くするため、指名打者での起用が増える見通し。またジーターは今季3000安打こそ達成したが、前半戦は不調に苦しんだ。6度のゴールドグラブに輝いた遊撃守備でも、守備範囲の広さを示す「レンジ・ファクター」は1試合あたり3・44個と96年のレギュラー定着後では最低。メジャー平均より1個近くも下回り、将来的な外野手転向案が浮上するなど、長らくメジャーの顔だった遊撃で限界説もささやかれている。

 三遊間のバックアップ要員を必要とするヤ軍にとって、日本で実績を残す中島が入札制度を申請したのは渡りに船だった。今季はヌネスが代役で三遊間を埋めたが、まだ2年目で未知数の部分は多い。ヤ軍は06年オフに同制度で阪神井川を約2600万ドル(当時のレートで約30億円)で落札。ただ獲得が失敗に終わり、球団内で同制度から永久撤退の声が上がったこともあったが、今オフはダルビッシュにも強い興味を示すように、必要とあれば投資を惜しまない積極姿勢は健在だった。西武はこの日、日本野球機構(NPB)を通じて大リーグ機構に入札受諾を伝えた。同機構は今日7日(日本時間8日)に、テキサス州ダラスで行われているウインターミーティング会場で、中島の落札球団を正式発表する予定になっている。