【サプライズ(米アリゾナ州)16日(日本時間17日)=高山通史】レンジャーズ・ダルビッシュ有投手(25)に下半身ガードの珍指令が下った。レ軍のリハビリコーチを務める、元巨人投手のキース・カムストック氏(56)が私生活での注意事項を指摘。日米両球界を知る経験から、米国での女性関係への対処を成功条件の1つに挙げた。近日中にキャンプ地入りする全米注目の選手だけに、パパラッチ対策など、野球以外でのトラブル回避が必須と力説した。

 ダルビッシュに、強力な私生活アドバイザーが登場した。巨人で85年から2年間、活躍したカムストック・コーチが指導者の域を超え、1人の男として、日本球界から飛び込んでくる後輩と向き合う決意を示す。セクシーにたくわえた口ひげを上下に大きく揺らしながら、日本滞在時にマスターした3文字の“俗語”を駆使し、大胆に説いた。

 カムストック・コーチ

 アメリカの女性は、日本でいう「スケベ」だ。気を付けた方がいいだろうね。

 ジョーク交じりだが、正真正銘の親心だった。同コーチはアリゾナ在住。キャンプ期間は同地でサポートをするとともに、シーズン中は故障選手らのケアを担当するのが仕事だ。自身もプレーした日本からの全米でも注目を浴びる25歳の挑戦者。「マキハラ(元巨人槙原寛己氏)のような素晴らしいブレーキングボール(スライダー)を持つし、素晴らしい」と野球面では不安はゼロだが、プライベートに関しては助言、忠告を連発した。

 その筆頭に挙げたのが、女性関係だ。独身でイケメン。「フォーカス・マガジンには注意した方がいい。彼は有名だからね」と眉間にしわを寄せた。ヤンキースのA・ロッドら有名大リーガーのみならず、ハリウッドスターらがパパラッチらの標的になり、本業に支障が出ているケースも多い。ダルビッシュも最近では日本で同様の体験もしているが、米国はさらに強烈。同コーチは「そこでストレスをためないことだ」と成功の流儀の1つにした。

 日米両球界、文化を知る経験から大ハッスルで助言も発展した。車同士ではなく、人間の“当たり屋”の存在に警報を鳴らした。

 カムストック・コーチ

 外を歩いていてわざとぶつかってきて、ケンカをふっかけてくる場合がある。それを見ていた人が不利な証言をすれば…。彼はビッグマネーを持っていることを、多くの人が知っているからね。

 訴訟社会の米国では法廷に持ち込まれ、大金をさらわれるケースもあるという。新天地で想定外の試練の数々をクリアする奥義を、キャンプ中に伝授する心づもりでいる。ダルビッシュは「私生活で日本のように神経質にならないように」と話していただけに、心強いサポーターになりそうだ。

 ◆キース・カムストック

 1955年12月23日、米サンフランシスコ生まれ。76年ドラフトでエンゼルス入り。84年ツインズでメジャー昇格。85、86年は王監督時代の巨人で背番号17を付けプレー。スクリューボールを武器に1年目は先発で8勝8敗、2年目は外国人選手登録枠の関係で「第3の外国人」となり3試合の登板で退団。日本での通算成績は24試合8勝10敗、防御率4・47。その後はジャイアンツ、パドレスを経てマリナーズ時代の90年、中継ぎとして60試合7勝4敗の成績を収めた。メジャー通算144試合10勝7敗3セーブ、防御率4・06。巨人在籍時は180センチ、78キロ。左投げ両打ち。