<オープン戦:ブルワーズ7-1ドジャース>◇25日(日本時間26日)◇アリゾナ州メリーベール

 ブルワーズ青木宣親外野手(30)が、定位置の獲得に大きく前進した。ドジャース戦に「1番右翼」でスタメン出場し、オープン戦初アーチを含む2打数2安打1犠打と活躍した。昨季、ナ・リーグ最多勝となる21勝を挙げ、サイ・ヤング賞に輝いた左腕クレイトン・カーショー投手(24)からの初アーチに、首脳陣の評価も上がる一方。開幕戦(4月6日、カージナルス戦=ホーム)のスタメン出場へ向け、大きなアピールとなった。

 内容も価値もある、ひと振りだった。3回裏の第2打席。相手は現役最高左腕のカーショーだった。3ボールの後、6球続けてファウルで粘った末の10球目。甘いカットボールを右中間最深部まで運んだ。「しっかりと自分のポイントで打てました」。

 第1打席には三遊間への内野安打。第3打席は一塁前へ犠打を決めるなど、足、パワー、小技と、複数の引き出しを披露した。計3打席で21球を投げさせられたカーショーが「ファウルで粘られて、有利な状況に持ち込まれた。あんな結果(本塁打)になるとは思わなかった。かなり活躍すると思うよ」とこぼすほど、警戒心を植え付けた。

 レネキー監督も「悪くないね(笑い)。粘り抜いて最後に打つなんてね。オープン戦序盤は少し戸惑っていたが、試合を重ねるごとに良くなってきた。本塁打はともかく、バントもできるし、我々にとってとてもナイスな存在だね」と高く評した。日本で首位打者3度の実績も、定位置は保証されていない。この日の活躍は、開幕スタメンへ大きなアピールになった。

 キャンプ序盤は、練習量の少なさに戸惑った。米国では1日50スイング程度。焦りと物足りなさもあり、早出や居残りで打ち込んだほか、滞在先近くの公園で素振りをするなど、自己流調整に時間を割いた。

 実戦開始時点で気疲れもあり、体のキレは鈍っていた。連日ビデオで打撃フォームをチェックし、修正を加えた。「自分のスイングがまったくできてなかったです」。そこで思考を変えた。英語や不慣れな米国生活を意識し過ぎず、滞在先の自室で日本のDVDを観賞。イチローや福留とも会食し助言や激励を受けた。

 打率も3割1分3厘まで上昇。右翼ハートの故障もあり開幕スタメンは手が届くところまで来た。「いいタイミングで(調子が)上がってきたのかも。でも、まだ春季キャンプ。いい時も悪い時もあります」。開幕まで10日あまり。日本屈指のヒットマンは、本領を発揮し始めても、謙虚な姿勢は忘れていなかった。【四竈衛】