<ワールドシリーズ:レッドソックス6-1カージナルス>◇第6戦◇10月30日(日本時間同31日)◇フェンウェイパーク
連続爆破テロの悪夢に震えた米ボストンの市民たちが、力強くよみがえった。地元の大リーグ球団レッドソックスがワールドシリーズを制した10月30日夜(日本時間同31日)、ファンが球場周辺にあふれ、1918年以来、95年ぶりとなった地元での世界一決定に熱狂した。半年前の4月15日には、ボストン・マラソンのゴール付近で死者3人、負傷者260人以上を出す爆弾テロが発生。球場に近い同付近に集まるファンも多く、犠牲者と喜びを分かち合った。
1897年に始まり、世界最古のシティーマラソンとして知られるボストン・マラソン。ゴール地点には、黄色の太線が路面に塗られている。レッドソックスの世界一が決まり、歓喜の声が市街地に響く中、多くのファンがこのゴールラインに集まってきた。AP通信や地元紙などによると、線上にキスをしたり、拳を押し当てたり、泣いている人もいた。ある男性ファンは、ユニホームをライン上に置いた。「バーで試合を見てから来た。犠牲者への敬意を示したかった」。女性ファンの1人は、最初の爆発が起きた場所でたたずんでいた。「テロで負傷したすべての人に祈りをささげている。レッドソックスの世界一は、犠牲者への最高の供養になったと思う」と話した。
選手たちも同じ気持ちだった。4月の事件以後、「ボストンは強い」「強く生きよう」などの意味を込めて、「BOSTON
STRONG」を合言葉にした。爆弾テロに震えたボストン市民と戦うことをアピール。「B
STRONG」と描いたロゴは選手の左袖に付けられ、フェンウェイパークのセンターの芝生、左翼グリーンモンスターの壁面に描かれた。この日の試合中にも、「BOSTON
STRONG!」の合唱がこだました。
ワールドシリーズMVPに輝いた主砲オルティスは「今回の優勝は、誰よりも先に、ボストン市民にささげたい。爆弾テロがあった年の優勝だから、価値がある。特別な年だった」と実感を込めた。二塁手のペドロイアは「今年は何か特別なことをして、ボストンのファンに喜んでもらいたかった」と、6年ぶりの世界一に満足そう。ロゴ入りの旗を誇らしげに掲げた。
市の象徴である高さ229メートルのプルデンシャル・タワーでは、「GO
SOX」のイルミネーションが輝いた。ファンが球場周辺の市街地にあふれ、大歓声がわき上がった。中には車をひっくり返したり、信号によじ登ったりする人も。警察の発表によると、12人の逮捕者が出た。
テロ事件が発生した4月15日午後から、容疑者が逮捕される同19日夜まで、ボストン市民は恐怖に耐え、息を潜めた。地元チームの世界一が、市民に再生の力を与えた。




