岩村“風のような”同点ホーム/プレーオフ
<ア地区シリーズ:レイズ6-4ホワイトソックス>◇第1戦◇2日(日本時間3日)◇トロピカーナフィールド
【セントピーターズバーグ(米フロリダ州)=高宮憲治、木崎英夫通信員】レイズが岩村の快足で歴史的1勝をもぎ取った。球団初のプレーオフ地区シリーズ(5回戦制)に臨んだレイズは、本拠地でホワイトソックスと対戦。1番二塁で先発した岩村明憲内野手(29)が2点を追う3回にセンターオーバーの適時三塁打を放ち、後続の浅い左飛でも猛スピードのスライディングで同点に追いついた。新人ロンゴリアの2打席連続本塁打もあり、チームは6-4で逆転勝ちで勢いをつかんだ。
一塁を蹴った岩村は、前の走者を気にしていた。三塁コーチが手を回し、走者が本塁に向かうのを確認すると、グンとスピードを上げ一気に三塁へ滑り込む。セーフだ! 3回裏、2-3と1点差に迫る適時三塁打に、満員3万5041人の観衆は総立ち。ドームは耳をつんざく大歓声に包まれた。
打席では、マドン采配に少々驚いていた。初のプレーオフでもまったく普段と変わりなかったからだ。試合の序盤で無死一塁。「大事な試合だから(バントなどの)サインが出ると思った」。予想に反してサインはなく、いつも通り岩村の判断にまかされた。これが「Have fun」(楽しもう)の精神だ。初球でバントの構えをして様子をうかがうと、2球目の直球を「強くしばきあげた」。打球は中堅手の頭上を越えていった。
岩村劇場は、これだけで終わらない。1死後、アイバーが左飛を打ち上げた。犠飛には浅いように見えたが、「行くのがベストだと思った」と迷わず決断。三塁ベースを蹴った。きわどいタイミングながら、だが岩村はスピードを落とさずに捕手の横をすり抜けるような巧みなベースタッチで、同点のホームイン。「セーフになる自信しかなかった」と胸を張る“風のような”走塁だった。5回には先頭で右前打を放ち、4打数2安打、1打点、1得点の大活躍だった。
この日出場した15人のうち、岩村を含め11人がプレーオフ初体験だった。もちろん気持ちは高ぶっていた。ベテランのフロイドは「何人かは明らかに緊張していた」と証言した。それでもプレーに硬さはなかった。デビュー組のナバロ捕手は「何か違うの? 同じ野球だろう。3つのベースに1つのホーム。27アウトを取ればいい」と平然と言った。「9人が9イニングを一緒に戦えばいい」。マドン野球が浸透し、レギュラーシーズン97勝の実力を、そのまま発揮した結果だ。「強いチームのゲーム運びじゃないですか、客観的に見て」。岩村の言葉に同意するファンは多いだろう。【高宮憲治】
[2008年10月4日8時32分 紙面から]
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