<ア優勝シリーズ:レッドソックス8-7レイズ>◇第5戦◇16日(日本時間17日)◇フェンウェイパーク
【ボストン(米マサチューセッツ州)=山内崇章、千葉修宏、木崎英夫通信員】レッドソックスが、奇跡の大逆転でワールドシリーズ連覇の夢をつないだ。レイズに王手をかけられ迎えた第5戦は、先発松坂大輔投手(28)が5回途中5失点KOされたが、打線が主砲デビッド・オルティス内野手(32)の3ランなど終盤にきて爆発。7点差をひっくり返す逆転劇で、対戦成績を2勝3敗とした。レイズ岩村明憲内野手(29)は1安打、2四球だった。第6戦は18日(同19日)、舞台をセントピーターズバーグへと移し行われる。
まるで世界一のような騒ぎだった。悲鳴に似た絶叫がこだまし、フェンウェイパークのスタンドが大きく揺れた。サヨナラのホームを踏んだユーキリスにナインが突進。少し遅れて歓喜の輪に交じった松坂も同僚と抱き合った。
同点の9回2死一、二塁。ドルーの放った決勝打が右翼手の頭上を抜けた。クラブハウスのモニターで戦況を見つめていた松坂は、全速力でグラウンドへ駆け降りた。5回途中5失点で降板。アイシングは終えていたが、「クラブハウスにいれば逆転する」。験担ぎも兼ね、その場で試合を見守っていた。
松坂
ああいうこと(大逆転)が起きても不思議ではないと、その可能性を信じて見ていました。
松坂は初回、アップトンに左翼席に運ばれ2点先制された。3回にはペーニャに2ラン、ロンゴリアにソロ本塁打。今季公式戦でもなかった1試合3本塁打を浴びた。7回に守護神パペルボンを投入したが、致命的な2点を献上し7点差。客席の誰もが08年の終わりを覚悟した展開だった。
しかし主砲オルティスが7回2死一、三塁から、右翼席へ3ランを運び3点差とした。第3打席まで今シリーズ17打数1安打。地元ファンから珍しくブーイングが浴びせられた直後の打席で、一気に試合の流れを変えた。8回にはドルーの2ランで1点差。さらに2死二塁から1番クリスプの右前打で、ついに同点に追いついた。
クリスプ
これは戦いだ。やられっぱなしの野球はしたくない。パピー(オルティスの愛称)の3ランがターニングポイントだった。あれでベンチ全体が行けるとその気になった。
日付が変わった4時間8分の大逆転劇。松坂が奇跡の勝利をこう表現した。
松坂
日本のプロ野球では、こんな試合は見たことがない。強いて言えば高校時代、夏の準決勝以来の出来事ですね。
98年夏の甲子園の横浜-明徳義塾戦。8回表まで0-6とされた横浜が、9回に逆転サヨナラ勝ちした一戦が頭をよぎった。松坂は9回から登板し、逆転の流れをつくった。
大逆転を皮肉にも“演出”した格好の松坂は「初回から味方打線にプレッシャーをかけて申し訳がない」と反省した。それでも、同僚たちが、ワールドシリーズで出直すチャンスを残してくれた。窮地で生き返った10年前の夏は、日本一になった。勢い、流れの強さを松坂は感じていた。【山内崇章】



