<ア優勝シリーズ:ヤンキース4-1エンゼルス>◇第1戦◇16日(日本時間17日)◇ヤンキースタジアム

 【ニューヨーク=大塚仁】ヤンキースがエンゼルスとのア・リーグ優勝決定シリーズ第1戦で先勝した。5番指名打者(DH)でスタメン出場したヤンキース松井秀喜外野手(35)が2本の適時打で2打点と活躍、快勝に貢献した。地区シリーズに続き、チームを勢いづける第1戦での2打点。03年以来のワールドシリーズ出場に向け、まずはチームとともに好発進した。

 内角球に詰まらされた松井の打球が力なく遊撃付近に打ち上がる。1回2死二塁。この回1点止まりかとだれもが思った次の瞬間、ヤンキースタジアムに大歓声がわき起こった。エ軍の三塁手フィギンズと遊撃手アイバーがまさかのお見合い。歓声に連係の合図がかき消されてアイバーの手前にボールが落ちる間に、二塁走者デーモンが本塁を駆け抜けていた。「(打球を)見ずに走ってましたけど、ぱっと見たらポトッと落ちてました」。勝負の女神にほほ笑まれた松井が、会心の笑みを見せた。

 先発ラッキーから奪った幸運な2点の後は、技ありの一打で追加点をたたき出した。1点を返された後の5回1死一、二塁。カウント2-1から外角のチェンジアップに素直にバットを出し、左中間に流し打っての適時二塁打で再びリードを2点に広げた。「多分ボール気味じゃないか。体重が残ってたんでうまく打てた。追い込まれてますから何でもありですよ」と振り返るしぶとい打撃での3点目も、1点勝負のプレーオフでは大きく効いた。

 徹底した「ゴジラマーク」をかいくぐった。緻密(ちみつ)な野球が特徴のエンゼルスは、キーマンの1人である松井に対して執拗(しつよう)にカーブ攻めを繰り返した。この日の4打席で投げた17球のうち、実にカーブは12球。ゆるい球になかなかタイミングが合わないというデータに基づく攻めだった。だが四球の第4打席に見られたようなボールを選ぶ我慢強さと、しぶとくファウルで粘る打撃で活路を開いた。「アナハイムはいつもこんな感じですよ」と、事もなげに言ってのけた。

 エースのサバシアが8回1失点の好投を演じ、快勝スタートを切った。6年前のこの日、ヤンキースはレッドソックスとのリーグ優勝決定戦第7戦を制してワールドシリーズに駒を進めている。8回に同点のホームを踏んだ松井が雄たけびを上げてジャンプしたシーンは、今でも松井の脳裏に深く刻まれている。それ以来となる6年ぶりの世界一決戦へ、力強く第1歩を踏み出した。