広島名物「新井いじり」も8年ぶりに復活!? 広島復帰で注目の黒田博樹投手(40)が今日28日、シート打撃に登板する。対戦予定の新井に「バットを折る」と仰天の宣戦布告。沖縄キャンプ最後の実戦形式登板を前に、07年までともにプレーした後輩いじりを解禁した。古巣に溶け込み素顔をのぞかせたメジャー帰り右腕が、マウンドでも片りんを見せつける。

 黒田が封印を解いた。スライダーでもスプリットでもなく、切れ味のある「新井いじり」だ。27日、キャッチボールとショートダッシュで、沖縄最後となる実戦形式登板に備えた。対戦が予定される新井に対し、表情を崩して宣戦布告。「新井のバットを折る」。数分間の取材で3度も口にした。「キャンプ終盤でバットも少なくなっていると思う」。いたずらっぽい笑顔には、後輩への愛情が感じられた。

 沖縄キャンプでは7年間染みついた米国式から日本式に慣れることが求められた。チームは8年前と大きく変わり、選手も入れ替わった。球団は別メニュー調整を許可し、ブルペンにセメントの粉を入れてマウンドを硬くするなど配慮。黒田はチームに溶け込もうと積極的に輪に加わった。合流当初見られたチームメートとの距離は徐々に縮まりつつある。何よりの証しが「新井いじり」とも言える。

 07年まではスコアラー、今年はコーチとして接する畝投手コーチは「試合や野球に取り組む姿勢は真剣そのもので寄せ付けないものがある。でも普段はふざけたこともするし、もともとそういうタイプ」と黒田の素顔を明かす。前回25日のフリー打撃では投じなかったスプリットを試投する予定。持ち味のカットボールやツーシームが打者の手元で動けば、芯を外してバットを折る可能性は高まるが…。「いろいろな駆け引きをして、バットを折りたい。初めての実戦(形式)で、全ての球種を含めて投球の感覚をつかみたい」。バットをへし折り仕上がりを確認しながら「新井いじり」にもオチをつける。【前原淳】

 ◆新井いじり 広島時代から先輩金本が中心となり新井はいじられた。07年オフ、新井は阪神にFA移籍し「金本さんは僕を弟のように思ってくれている」と慕うと金本は「他人と思っている」。08年4月横浜戦で金本が通算2000安打、新井が1000安打を同時達成すると、お立ち台に並んだ金本は「キモイっすね」。金本が12年に現役引退すると新井は「自分はいじられキャラじゃない」と解放されたように宣言した。