目標は開幕スタメンだけだ。広島の3年目鈴木誠也内野手(20)が5日、社会人オール広島との練習試合に「1番右翼」で出場。新井のアドバイス効果もあって、3打数3安打1打点と猛アピールした。フルスイングからは迫力が漂う。激烈な外野争いでレギュラーをつかみ取る。

 強く振れば、詰まっても安打になる。「強く振る」。鈴木誠はそれだけを考えていた。3回2死。初球だった。137キロの直球を迷わず振り切った。スタジアムに響き渡る快音を残し、打球は右中間へ。快足を飛ばして三塁へ到達した。オーバーランでタッチアウトにこそなったが、必死さであふれていた。

 「今は開幕スタメンしか頭にないです。本当に優勝に貢献したいと思っているので。ボーンヘッドで流れを変えてしまうのでしっかりしないといけません」

 ミスをこれでもかと悔やむ姿からも、本気度がヒシヒシ伝わる。グラウンドでは、失敗にも決して下を向かなかった。走塁ミスの次打席では練習試合DeNA戦(宜野湾)で失敗したバントを2球目で決めた。7回の第4打席では中前適時打を放った。直後には二盗も決めた。3打数3安打1打点と暴れてみせた。

 転機はキャンプ中にあった。ベテラン新井の打撃練習を凝視し、気付いたことがあった。38歳にしてティー打撃も打撃練習も抜くところがまったくない。強いスイングで振り切っていた。思い切って話を聞き、ハッとしたという。

 「自分が形にこだわっていてはダメだと気付きました。強く振る。(変化球で)抜かれても、思い切って振る。その流れで試合にも入っていけています」

 「1番右翼」はドラフト1位野間が実戦でスタメン出場を続けている。ライバルは多く、結果を残し続けることが開幕スタメンの条件となる。「まだまだです。ミスをなくしていかないと」。最後まで反省を口にし、鈴木誠は次戦をにらんだ。【池本泰尚】