「8回の男」への試練を乗り越えろ! 開幕セットアッパー候補の阪神松田遼馬投手(21)が無観客試合のヤクルト戦(神宮)で打ち込まれた。1-3の7回に登板し、いきなりヤクルト山田から4連打を浴び2失点。セットポジションで球威が落ちる課題が明確になった。踏ん張って後続を断った遼馬への期待は変わらず。ベテラン福原がケガで離脱したブルペンは、21歳右腕が支えるしかない。

 いつもと違うリョウマだった。大半の直球は140キロ台前半にとどまった。セットアッパーとしての期待が高まる快速右腕が、強力なヤクルト打線に跳ね返された。

 松田 ボールが高かったです。チャンスがあれば次につなげたいと思います。

 2点を追いかける7回にマウンドに上がった。いきなり昨年のセ・リーグ最多安打ヤクルト山田と対した。カウント1-2からの5球目、真ん中高めに浮いたスライダーを左前に運ばれた。走者を背負うと、この日最速148キロをマークしていた真っすぐの球速がガタッと落ちた。

 高めへの直球でも空振りを奪えるのが松田の売りだ。しかし、球速の落ちたストレートは狙われた。奥村、森岡、ユウイチと4連打をたたみかけられた。1死も奪えず2失点。15日DeNA戦から2戦連続の失点だ。和田監督は「大事なところで投げるとすれば、セットになると(スピード)ガンが落ちるし、そこらへん配球でカバーするのか。そうなると捕手の助けが必要になってくると思うし」と説明。不動のセットアッパーとなる道中に、課題がはっきりした。

 中西投手コーチは「根本的なところは変えない。今日は打たれただけ」と話した。ここまで安定した投球を続けてきた中継ぎ陣だったが、松田だけではなく、榎田と呉昇桓も失点した。それでも勝ちパターン継投は変えない方針。松田もその1人だ。

 4連打の後に粘った。飯原を内角直球で一邪飛、田中浩をスライダーで見逃し三振、谷内を二ゴロに仕留めた。打たれっぱなしで終わらなかったのは、21歳の意地だった。

 最年長38歳の福原が右内転筋挫傷で離脱し、2軍調整を続けている。福原が投げることが多かった8回を任されようとしている松田。平田ヘッドコーチも「まだまだ経験がない。これからだね」と成長に期待した。27日のシーズン開幕まで、実戦での教育は続く。【宮崎えり子】