勝利の方程式に肝っ玉ルーキーが加わるかもしれない。阪神ドラフト2位石崎剛投手(24=新日鉄住金鹿島)がオリックス戦の6回から2番手で登板。1イニングを3人で退けた。開幕ローテ争いからは漏れたが、中継ぎとしても好投。勝ちパターンでの投入も視野に、今日予定される連投テストに臨む。

 敗戦の中、ドラフト2位の石崎が光った。5点ビハインドの6回、2番手で登板。9番伊藤をスライダーで空振り三振に切ると1番平野恵をシュートで遊ゴロ、2番安達は真っすぐで空振り三振。見事3人で切り、京セラドーム大阪に足を運んだ虎党を喜ばせた。

 「あそこは流れを変えないといけない場面。ヒットを打たれたり。四球を出したりすると流れが変わらない。テンポよく3人で切れたのはよかった」

 5点差で出て、ダラダラ走者を出せばファンもベンチもしらける。難しい場面で真価を発揮した。今季のルーキー最年長、置かれた状況を理解してのコメントも新人離れしていた。

 首脳陣も絶賛だ。「マウンドでの度胸、立ち居振る舞いが落ち着いているんで、十分、このポジションでもやっていけるんじゃないかな。大事なところでいけるくらいの球威がある投手なんでね」。和田監督は大きな手応えを感じた様子。

 中西投手コーチも「場合によってはいいところでもいかせる。(松田)遼馬と安藤との兼ね合いもあるけど。展開によってだけどシーズンでは2イニングもある。明日(21日)連投も見たい」と“連投テスト”まで口にした。

 何より精神面の強さを感じさせたのが大きい。今月10日の広島戦(甲子園)で4回を投げて以来の実戦マウンド。この間、2軍戦での登板が予定されていたが雨にたたられ、実現しなかった。コンディションを崩す可能性もあったが落ち着いていた。

 試合前、中西コーチから「中でいく」と伝えられた。キャンプから先発スタッフに食い込む競争に加わっていたが、とりあえず開幕は中継ぎ要員に決まった。だが動揺はなかった。

 「社会人から両方、やっていたんで苦にすることはありません。与えられたところをこなし、どちらでも大丈夫というところをアピールしたい」。まずは勝利の方程式の一員となり、いつかは先発勝利へ。潜在能力を示すのはこれからだ。【編集委員・高原寿夫】