等身大で、ぶつかった。日本ハムのドラフト5位ルーキー瀬川隼郎投手(28)が、出身地の札幌でプロデビューした。楽天戦の7回。ひときわ沸き上がる声援を背にマウンドに立った。3点ビハインドの劣勢にも、「すごく大きな声援をいただいた。緊張はなく思ったより、すんなり入れた」。先頭の藤田を空振り三振。新たな野球人生の幕を、こじ開けた。

 チャンスは突然だった。今日29日の開幕3戦目に先発予定だった浦野が故障で離脱。代役に新外国人左腕ガラテが抜てきされ、宮西のみになった左の中継ぎとして補充された。27日の開幕戦当日に1軍に合流。1度は破れた目標を、再びつかんだ。「結果を出していかないと残れない」。必死の覚悟で臨んだが、思いは届かなかった。

 プロの洗礼に、立ち向かった。最速145キロの力投もボール先行が続いた。1安打1四球を許し、2死一、三塁のピンチを招いたところで降板。「1イニング投げられなかったことが悔しい。落ち着いては投げられた。それだけです」と斜め下、1点を見つめ続けた。ほろ苦い初舞台。「次に向けて修正していきたい」。無念の思いを胸に刻み、強くまなざしを上げていく。【田中彩友美】