夜桜が見たいわけじゃない。開幕3連勝で東上した阪神は30日、神宮球場でナイター練習を敢行した。オープン戦も含め今季初の屋外ナイターとなる今日からのヤクルト戦に向け、約2時間半みっちり練習。飛球の確認、打撃練習で目を慣らした。4年連続負け越している燕の巣は、虎の鬼門でもある。4連勝へ、備えあれば憂いなし-。

 やれることはやっておく。勝負の鉄則とも言える準備において、猛虎に妥協はなかった。午後6時、ナイター照明がつけられた神宮球場に虎戦士たちが立っていた。野手が各ポジションについて、コーチが飛球を打ち上げた。1人、1人が感覚を確認するように捕球していった。

 和田監督 日程の関係もあるだろうけど、準備しておかないとね。本拠地が使えない関係でなかなかナイター練習ができないんで。全然、感覚が違うから。

 開幕戦は京セラドーム大阪でのナイターだった。オープン戦でも20日に同球場でオリックス戦を行った。だが、ドームと屋外ではナイターの感覚がまるで違うという。指揮官が言うように屋外のナイターは昨年10月26日、甲子園での日本シリーズ第2戦までさかのぼる。約5カ月のギャップを修正するためシーズン中では異例と言えるナイター練習を敢行したのだ。

 福留 やっておいた方がいいよね。やっぱり目(の感覚)が違うから。

 福留の言葉通り、選手たちも久しぶりの感覚を取り戻すように打球を追った。1日あれば感覚は戻るという。だが、その1日を準備できるかどうかが勝敗に関わってくる。この日の虎からは、そんな勝負に対する厳しさが伝わってきた。

 球団創設80周年の記念シーズンは、7年ぶりの開幕3連勝と最高のスタートを切った。リーグで唯一、白星街道を歩んでいるが、指揮官は気を引き締めた。

 和田監督 我々はまったく浮かれたところはないし。開幕3連勝できたことはよかったけど、まだ1カードしか終わっていないわけだから。いつも言うけど1戦、1戦。3連戦の頭を何とか取れるように。そういう気持ちでやらないとね。

 2カード目は昨季、負け越した神宮でのヤクルト戦。防御率6・77の数字が物語るように嫌なイメージが残る。自慢の投手陣が相手の強力打線をいかに封じるか。鬼門突破へ、猛虎に油断はなさそうだ。【鈴木忠平】