阪神鳥谷敬内野手(33)が通算100盗塁を達成した。1回無死で成瀬の初球外角直球を逆らわずにミートし、痛烈なゴロで三遊間を破る。すかさず今季初盗塁となる二盗を決め、2番上本の右前打、3番西岡の先制弾をお膳立てした。

 「打順が1番なんで、少しでも多く(盗塁を)できればと思っています」

 「足」の力は誰よりも理解している。13年WBC2次ラウンド台湾戦では1点を追う9回2死一塁、単独スチールを決めて井端の同点打を呼び込んだ。侍ジャパンの危機をすくい、あらためて日本全国に足が持つ力を知らしめた。今季は核弾頭が主戦場。自己最多の11年16盗塁を超える数字にも期待がかかる。

 打っては1点を追う7回、先頭で徳山から中前打を放ち、反撃ムードを高めた。3試合ぶりのマルチ安打で開幕戦から4試合連続安打を記録。「良くも悪くもない」という状態で打率3割5分3厘を誇る。特に初回の第1打席で4打数3安打と快音を連発中。1番打者としての適性はもう説明するまでもない。

 通算出場試合数は球団10位タイの1549となった。猛虎のレジェンドとして着々と節目の記録を通過しているが、本人が個人記録に興味を示すことはない。成瀬のヤクルト移籍後初勝利を献上した。「左で左打者にチェンジアップを投げる投手はなかなかいない。両サイドに投げ分けていましたね」。分析しながら、すでに視線は次回の雪辱に向いていた。【佐井陽介】