東北学院大の2年生の新4番、佐藤信行外野手(専大北上)が公式戦初本塁打を放った。6-1の4回裏1死から右翼席にソロアーチをかけた。この日は4打数4安打3打点と大暴れ。宮城教育大を退けて連勝し、勝ち点1をもたらした。

 2年生4番のバットが火を噴いた。4回。佐藤信が「真ん中高めの抜けたフォークかチェンジアップ」を捉えた打球が右翼席に消えた。大学入学後、練習試合3本塁打の左の好打者に飛び出した公式戦第1号。「来た球を打つ。それが結果的にヒットだったり、ホームランになった」と声を弾ませた。

 広角打法と身長173センチながら長打力を秘め、入学間もない昨春からベンチ入りした。昨秋のリーグ戦で初出場を果たし、打順は3番などを任されて7試合を経験した。打率は1割6分7厘と試合によっては出番がなかった。旧4年生が卒業し、定位置を獲得できなかった佐藤信にチャンスが巡ってきた。菅井徳雄監督(58)は「3番を考えていた」と言うが、4番候補の数人がケガやオープン戦で調子が上がらず、「苦肉の策」(同監督)で開幕直前に抜てきされた。

 前日12日の開幕戦は5打数2安打2打点。4番は高校時代に経験し「いつも通り」と気負いはなかった。この日は初回に先制打を左前に流し打った。2回は中前適時打、8回には右翼線二塁打と武器の広角打法を見せつけた。苦肉の策どころか、起用がズバリ的中した菅井監督は「4番がしっかり仕事をしてくれた」と喜んだ。

 プロ注目右腕の大黒柱・本田圭佑(4年)が登板する対戦カード1回戦はある程度の計算が立つ。2番手投手が課題のチームは、2回戦以降打線の援護がより求められる。昨秋はリーグ戦、明治神宮大会東北地区代表決定戦と、2度のノーヒットノーランを喫した。「ネガティブなことは気にしない」と、佐藤信は心の切り替えもできる。

 冬場にプロテインなどの積極的な摂取で、体重は3キロ増の70キロと体格も変わりつつある。課題だった三塁の守備は、今春から左翼に転向して負担が少し減った。「まだ2年生なので、どんどんヒットを打ってチームに貢献できれば」。東北学院大5季ぶりの優勝へ、打の主役に躍り出る。【久野朗】

 ◆佐藤信行(さとう・のぶゆき)1995年(平7)7月18日、仙台市生まれ。1度埼玉・上尾市に移る。長命ケ丘小3年で仙台に戻り、長命ケ丘スカイヤーズで野球を始める。長命ケ丘中では仙台西部シニアに所属。専大北上では1年春からベンチ入りしてレギュラー。3年春の県大会で準優勝し、東北大会出場。173センチ、70キロ。右投げ左打ち。家族は両親と弟、祖父母。