楽天が西武との接戦を制し、5連勝を決めた。1-1の8回に銀次内野手(27)が左前へ勝ち越しタイムリー。最後は新守護神の松井裕樹投手(19)が3人で締めた。投打ともに盤石の内容で、大久保博元監督(48)は初の貯金1。5月からの販売が決まっている自身のグッズ「一致団結まんじゅう」のような甘~い1勝に、思わず顔がほころんだ。

 しみじみと、初めての貯金の味をかみしめていた。大久保監督は「1戦1戦という気持ちでやっているから5連勝という感じがしませんよ。連勝も貯金も意識はない。投手がよく投げて野手が食らいついた結果です」と、喜ぶよりも先に選手をねぎらった。引き分け2戦を挟み、7戦連続負けなしの5連勝。先発が最少失点で切り抜けると打線が応え、救援陣が完封した。中身がぎっしりと詰まった白星は極上の味だった。

 サヨナラ勝ちの12日に続き、またもや銀次がしぶとく決めた。8回2死二塁。カウント1-2と追い込まれながらも、増田の内角高め144キロ直球をバットの根元に当てた。フラフラと上がった打球は三塁中村の頭上を越えてレフト前に。偶然の一打ではない。銀次は「練習通り。理想的な打球でした」と明かした。

 平石打撃コーチとのティー打撃では、内角の球をわざと詰まらせて内野の頭を越す打球に取り組んでいた。「あそこに落とせば、ランナーが確実にかえる」。もくろみ通り、二塁走者の福田が生還して勝ち越した。日頃の積み重ねをここ一番で発揮。職人のような仕事で監督をうならせた。

 9回1点差のマウンドに立ったのは、すっかりクローザー役が板についた松井裕だった。先頭の渡辺には初球から3球ボールが続いたが、すぐに修正して3者凡退に封じ、開幕から4連続セーブ。「抑えになってから唯一経験していなかったのが1点差のマウンド。そこで投げて、チームが勝てたということが一番です」と振り返った。

 先発、主軸、抑え。それぞれが託された仕事を全うして勝利につなげた。大久保監督は好調の理由を知っている。「選手全員が練習から1戦1戦という気持ちでやっている。それがいい」。グッズのまんじゅうにも記された「一致団結」を体現した5連勝目。この快進撃は、もう本物だ。【松本岳志】

 ▼パ・リーグは勝率5割のソフトバンク、楽天がそろって勝ち、5球団が勝ち越し。リーグ5球団に貯金があるケースは13年7月5日のパ・リーグ以来で、この時も6位オリックス(33勝37敗2分け)を除く5球団がすべて勝ち越した。