「じじいパワー」で3連勝だ。楽天ケニー・レイ投手(40)が日本ハム戦で6回4安打無失点の力投で、今季3勝目を挙げた。序盤は変化球の制球に苦しんだが、年の功を生かしリリースポイントを修正。直球とチェンジアップを軸に尻上がりに調子を上げ、老練な投球を見せた。これで90年ロッテ村田兆治以来となる40代で3戦3勝という記録を打ち立て、チームの連敗を2で止めた。

 “加齢”なる投球だった。レイはマウンド上で自分と向き合った。4回に1死二、三塁のピンチを招く。リードは3点。失点すれば流れを渡しかねない。ふっと息を吐いた。「40歳で良いことは経験値があること。修羅場を乗り越えた場数と、おじいちゃんみたいな知恵がある」。リリースポイントを修正すると判断した。腕の横ブレを抑える。日本ハム4番中田を内角3球で追い込む。体を起こさせ、最後は外角低めいっぱいのスライダーで見逃し三振に仕留めた。続くハーミッダは直球で遊ゴロ。5球に経験を凝縮した。

 40歳で3戦3勝。自らの快進撃を「じじいパワー」とおどける。ナイターの翌日でも午前8時に目が覚める。好きな食べ物は消化の良いうどん。薬味のネギと七味唐辛子はかかせない。左手の薬指には愛妻ブランディさんと愛息ブライス君のイニシャル「BB」を刻む。誰よりも家族を愛するパパだが「25歳の頃よりも、ここ5年間の方がいい」と若さにあふれている。

 成熟した投球術と、若い時よりもみなぎる肉体。「3年前から今年が引退という気持ちでやっている」と強い覚悟も勝ち星を引き寄せる一因となっている。不惑で開幕3戦3勝は日本の伝説ロッテ村田に並ぶ記録だと知らされると「ここで止まらないよ。今後も記録を更新していきたい。まだまだ2、3年はやれる体があるからね」とうれしそうに笑った。このまま勝ち星を重ね、“レイ”ジェンドとなる。【島根純】

 ▼40歳のレイが3連勝。40代投手の開幕からの連勝記録には05年吉井(オリックス)の6連勝があるが、吉井は途中に勝敗なしの試合を挟んだもの。40代で開幕から3戦3勝は90年村田(ロッテ)に次いで2人目のタイ記録だ。村田の4試合目は黒星だったが、レイは次回の登板も勝てるか。