オリックスが「特別な試合」に完勝し、今季初の連勝を飾った。ほっともっと神戸での西武2連戦は「がんばろうKOBE ~あの時を忘れない~」と阪神・淡路大震災20年のイベントとして実施。その初戦はファンの後押しを受けて投打ががっちりかみ合った。開幕ダッシュに失敗したが、借金を10に減らした。ここから巻き返しだ。

 スタンドには「がんばろう神戸」のボードを掲げるファンの姿もあった。オリックスが、神戸に集まった3万超の観衆に快勝劇を届けた。震災があった95年当時のブルーウェーブの復刻ユニホームを着用。森脇浩司監督(54)は、優勝した同年シーズンのように躍動する選手たちに目を細めた。

 「特別な試合だった。いろんな人の思いが後押ししてくれた。いつも以上に気持ちを持ってやった。ファンの思いと、我々の思いがかみ合った。チームとして随所に強いプレーが見られた。ナイスゲームだった」

 開幕戦で7回無失点と抑えられた牧田を攻略した。3回までに3得点で先発ディクソンを援護。6回は、地元兵庫県出身の坂口に右越え1号ソロが飛び出した。神戸で5年ぶりの1発。20年前は小学生だった。

 「塁に出ることだけを考えていた。最高の結果になってよかった。このユニホームはプロ野球選手になりたいと思わせてくれた。着ていた大先輩たちのように、自分も全力でプレーする姿勢を見せていきたい」。浮上のきっかけとなるような勝利に言葉が弾んだ。指揮官も「3-0で停滞していたところで大きなポイントだった」とうなった。

 多くの故障者を抱える救援陣に不安はあるが、チーム打率リーグ最低の打線が活発化してきたことは明るい材料と言える。悩んでいた新主将の糸井は3回の適時打で6試合連続安打。95年V戦士の福良ヘッドコーチも「つながってきた。糸井が打てば乗ってくる」と手ごたえを口にした。8回には中島も18打席ぶり安打となる適時打を放った。

 森脇監督は「負けが続いていたが、前を向いて見失わずにやってきた。じわじわとしっかりやっていきたい」と続けた。まだリーグの借金を丸抱えする最下位ながら、好転する雰囲気は漂ってきた。【大池和幸】

 ◆1995年のオリックス 1月17日に発生した阪神・淡路大震災で大打撃を受けたが、仰木彬監督の下で「がんばろうKOBE」をスローガンにシーズン中盤から独走し、オリックスとなって初のリーグ優勝を果たした。日本シリーズではヤクルトに敗れたものの、躍進する姿はファンに勇気と希望をもたらした。イチローが2年連続のMVP、平井正史が新人王に輝いた。4月に野田浩司が1試合19奪三振のプロ野球記録、8月に佐藤義則がノーヒットノーランを達成した。