打撃不振の阪神マット・マートン外野手(33)がスタメン落ちする可能性が浮上した。打率2割7厘と落ち込んでいるマートンは無気力にも映るプレーがあることなどから、チームの士気への影響を危惧する声が出ている。和田豊監督(52)は23日、この問題について、マートンへの信頼感を示しながらも「チームが優先だから」と起用法を含めた解決策を検討する方針を示した。

 前夜の敗戦はメッセンジャーの不可解な打席がクローズアップされたが、猛虎はさらに深刻な問題を抱えている。6番に降格となったマートンの打撃不振、そしてメンタル状態だ。前日のDeNA戦を例に挙げれば、3回、ゴメス、福留の適時打で3-2と逆転し、なお2死二塁の場面。マートンは1球もバットを振ることなく見逃し三振。最終打席で24打席ぶりの安打こそ放ったが、特に最近は、打撃、守備、走塁が無気力に映る場面があり、チーム内からは「士気に関わる」との声が上がっている。

 和田監督は他の選手への影響について問われると「もちろんあるよ。いろいろな部分で。そこらへんも考えてね」とチーム内への影響を認めた。そして、今後のマートンへの措置について、こう説明した。

 「措置? それは悪くなることを前提に話しているやろ。いずれにしても我々はどうやったらよくなるかを。打線の中で大きなウエートを占めているわけだから。これからどう上げていくかというところを」

 打撃不振が続くことを考えるのではなく、あくまで1日でも早く本来の状態に戻す方法を探っていくことを強調した。技術、実績は申し分ないだけに首脳陣は1つのきっかけで変わる瞬間を待っているという。

 「それがなかったらやっていけないところだし、実際、毎年そういう時期があって、そこから立て直してくるわけだから」

 ただ、チームは借金4の5位に沈んでいる。和田監督も、無期限で、このままの状態であるマートンを使い続けることは否定した。

 「それはチームが優先やからな。ずっと、というわけにもいかない」

 まさかの不振。要因の1つはやや拡大したように映るストライクゾーンと、不安定な精神状態だという。

 「そこからいろいろなところに発展しているんだろう。戦う相手というか。整理できていない。気持ちが入ってこないと、いいものも出ない。そういうところでのバランスがなあ…」

 和田監督は苦悩していた。最後にマートンを外す選択肢を問われると言った。

 「選択肢はいろいろあるだろうけど、それはこっちに任せておいてくれ」

 2日間の空白を経て、広島戦から戦いが再開する。悩める強打者をめぐり、和田監督がどんな決断を下すのか。猛虎逆襲のポイントになりそうな問題だ。【鈴木忠平】