西武菊池雄星投手(23)が今季初登板で進化の爪あとを残した。始動時に左腕がお尻に隠れ、ムチのようにしなって強く振った。3回、加藤にこの日最速の148キロを投じ、反応を許さず三振。5回、吉田から早くも2ケタ三振目を奪うなど、8回1死で降板するまで自己最多14奪三振に迫る12奪三振と好投した。惜しむべくは、カウントを整えようとして浴びた清田とクルーズの2発。いずれも2死からで「直球でファウルにするか、変化球でカウントを取れないと」と悔いた。

 キャンプの左肘痛で調整が遅れ、開幕に間に合わなかった。だが昨秋から土肥投手コーチらと着手したフォーム固めを丁寧に繰り返した。インステップを矯正し、正しい股関節の動きをすることで、これまで試行錯誤していた腕の振る位置は自然と適所にはまっていった。「(入団から)5年間、同じことを繰り返していたが、迷いなく始動できる」と打者との戦いに没頭できるようになった。

 セットからの投球も安定感があり、昨季はリーグワーストの与四球数だったが2四球に抑えた。「復帰戦は楽しみだったけど接戦で勝てないと、1つ上にいけない。次はやり返したい」。若き左腕にとっても、7年ぶりの覇権を目指すチームにとっても、明日への1敗になる。【広重竜太郎】