デビュー戦で厳しい現実に直面した。ロッテのドラフト2位ルーキー田中英祐投手(23)が、西武4回戦でプロ初登板初先発を果たしたが、3回6安打5失点で負け投手となった。初回先頭から2者連続で四球を与え、そこから4失点する自滅だった。京大初のプロ野球選手として注目されてきたが、プロの厳しさを味わう結果となった。しばらくは中継ぎに回る可能性が高い。

 記念すべき第1球から、おかしかった。初回、田中が西武先頭の秋山に投じた146キロ直球。この日の最速だったが、捕手田村の構えとは逆で内角低めのボールとなった。抜け球、逆球が続く。4球目でやっとストライクを取ったが、抜けていた。5球目で歩かせた。遊撃から主将の鈴木が駆け寄る。「腕を振っていけ」。助言は効かなかった。

 試合後に初回を振り返る田中は伏し目がちだった。「ボールを置きに行って腕が振れませんでした。自分のペースで投げられず、ストライクが欲しい思いが強くなりました」と絞り出した。悪循環だった。2番栗山はストレートで歩かせ、浅村、中村の連続適時打。5番メヒアからフォークで空振り三振を奪い、1アウト目も「アウトを1つ取るのが、すごく大変でした」。試合開始から13分がたっていた。6番森に適時二塁打を打たれ4失点目。初回で大勢を決められた。

 ベンチでは落合投手コーチの体験を聞かされた。22年前のデビュー戦で同コーチは初球から7球連続でボールだったが、後を抑えた。「4失点した後が大事だぞ」。神妙に聞いたが、2回先頭も四球。3回1死から3連打で5失点目。72球で降板するしかなかった。

 伊東監督は「厳しい世界と分かったと思う。今日の内容なら先発は厳しいかも」と手厳しかった。ただ、登録抹消はしない。「しばらくベンチに入れて状況を見て投げさせる」。いずれ先発を担わせる方針は変わらないが、まずは中継ぎで場数を踏ませることになりそうだ。2軍ではフォーム修正に取り組み、成果が出た。それが、1軍ではできなかった。田中は「力のなさを痛感しました。自信を持って投げられるようにしたい」と締めた。与えられる1軍の舞台を、無駄にはできない。【古川真弥】

 ▼京大出身の田中がプロ初登板。国立大出身で先発デビューは97年8月28日杉本友(オリックス)以来だったが、田中も杉本友と同じ5失点で黒星。国立大出身のデビュー戦勝利はまだ生まれていない。白星を挙げた国立大出身の投手は過去7人おり、65年新治(大洋)67年井手(中日)93年渡辺(ダイエー)97年杉本友、03年加藤(横浜)の5人が1年目に勝利を記録。田中は初勝利をいつ挙げられるか。