日本ハム大谷翔平投手(20)が、ブランク不問の快投で開幕からの連勝を6に伸ばした。西武7回戦に先発し、8回1/3を投げ5安打1失点。9回に失点し連続無失点イニングは「35」で止まったが、最速159キロをマークし、11三振を奪った。4月26日オリックス戦で右ふくらはぎをつって降板して以来18日ぶりの登板ながら、球団の開幕投手では79年高橋直に並ぶ6戦6勝とし、チームの連敗も4で止めた。

 唇をきつく結んだ。大股歩きで、ベンチを目指した。大谷の体から、自分への怒りが満ちた。「一番悔しいマウンドでした。最後だけ申し訳ないなと思う」。9回1死。浅村の三塁打で1点を失い、連続無失点は35イニングでストップ。走者を三塁に残してマウンドを降りた。開幕6連勝にも、歯切れは悪かった。

 それだけ、完璧だった。自信があった。右ふくらはぎをつった4月26日以来の1軍マウンド。「不安も緊張もなかった」。初回、先頭の秋山を152キロ直球で空振り三振に仕留めた。両リーグトップの打率3割7分を誇る好打者のバットが、ボールの下を通過した。球速以上のキレと伸び。快投劇の幕開けだった。

 さらに変化球を効果的に交ぜた。「西武打線に縦変化が有効だというのはあった」。直球(56球)に次ぐ、39球がフォーク。最速159キロとのコンビネーションで、今季最多タイの11三振を奪った。2回には中村、メヒア、さらにプロ初対戦の森を3者連続三振。「高校の時からいい打者。さらによくなっている」。高校日本代表でも一緒だった後輩をたたえたが、大谷に衝撃を受けたのは侍ジャパンの小久保監督。登板を今季初観戦し「チームの流れを変える選手。それに応えられる力が付いた。田中将大、ダルビッシュに近づいている」と絶賛した。

 再び規定投球回数に達し、防御率、勝数でリーグトップに立った。チームの連敗を4で止め、上がったお立ち台。「明日(15日)の有原さんは、僕が勝ったら勝ってくれると約束したので、絶対勝ってくれると思います」と盛り上げた。前日13日、食事会場で顔を合わせた際に言葉を交わしたという。「初先発が連敗続きだったら重たいと思うので、よかった」。エースの風格が、漂っていた。【本間翼】

 ▼大谷が開幕戦から6連勝。開幕投手の6戦6勝以上は04年に9戦9勝した岩隈(近鉄)以来。日本ハムの開幕投手で6戦6勝は79年高橋直(日本ハム)に並ぶタイ記録だ。9回に1失点し、4日オリックス戦からの連続無失点は35回でストップ。無失点を35回以上続けたのは13年田中(楽天=42回)以来で、パ・リーグでは12位タイ。58年稲尾(西鉄)が大谷と同じ高卒3年目に39回無失点をマークも、この時の稲尾は21歳。セ・リーグには18歳で44回無失点の66年堀内(巨人)がいるが、パ・リーグの35回以上無失点の中では大谷の20歳は最年少だ。また、大谷はこの白星がプロ通算20勝目。プロ1年目からの黒星は0敗→4敗→0敗で、4敗以下で通算20勝に到達は13人目。