勢いが止まらない。DeNAが今季12度目の逆転勝ち。日本一となった98年以来、17年ぶりの6カード連続勝ち越しを決め、貯金は今季最多の「9」となった。1回に中日に先制を許すも、直後に逆転。大歓声を背に逃げ切り、本拠地・横浜スタジアムでは10連勝。この記録も98年にマークしており、吉兆データが並ぶ勝利となった。

 ハマスタでの勝利後、恒例のサインボールプレゼント。10試合連続の感謝の儀式で、中畑清監督(61)はスタンドに思い切り投げ込んだ。「歓声がみんなのパワーになっている。歓声がみんなを育ててくれる。うれしいね。スタンドと一体となって盛り上がる野球が、俺が目指している野球だから」とファンへの感謝を並べた。

 緊急事態にも動じなかった。梶谷が左足首の負傷で登録抹消。開幕から不動の3番を欠くことになったが、「試練なんかじゃ全然ない」と言い切った。「長いシーズン、どこのチームでもあること。カジ(梶谷)に代わって出るヤツは、誰に任そうが、代役なんかじゃないんだよ。1人の戦力。今、みんな結果を出しているんだから」。信頼感からの言葉だった。

 その“戦力”を支えたのが、球場の一体感だった。3番を託されたのは14年目の井手。1回に逆転につなげる二塁打を放つと、5回には1号ソロ。3日に1軍昇格したばかりながら、2度目のお立ち台。ヒーローも「先制されても逆転できる雰囲気がベンチとスタンド全体にある。すごくいいです!」と感謝した。

 これこそ中畑監督が願い続けた景色だった。監督就任後、初めて横浜スタジアムを訪れた12年3月1日。選手に訴えた。「満員の中でプレーしようよ、野球屋なら。この球場をいっぱいにしよう」。観客数は右肩上がりでも、最も勝ちたい場所で黒星が先行し続けた。1年目は23勝(36敗4分け)。2年目は28勝(40敗)、そして去年が32勝(34敗1分け)。そんな悔しさから一転の10連勝。今、一番の喜びは首位でも監督通算200勝でもない。「ここで勝って恩返しすることが一番。それが監督をやっている原点だから」。

 この日の観衆は平日にもかかわらず、2万2748人。「もう歓声に乗っかっちゃうよ。1試合完全燃焼して、結果どうなるかだよ」。このままファンとともに突っ走る。【佐竹実】

 ▼DeNAが98年7月以来の6カード連続勝ち越しとなり、横浜スタジアムでは4月22日阪神戦から10連勝。DeNAが本拠地球場で2桁連勝は、大洋時代の川崎球場で70年6~7月に10連勝、横浜時代の横浜スタジアムで98年7~8月に10連勝、06年6~7月に11連勝して以来9年ぶり4度目。6カード連続勝ち越し、横浜スタジアム10連勝と、優勝した98年に似てきた。