一直線だった。ロッテ清田育宏外野手(29)が1-0の2回1死で7号満塁本塁打。カウント1-1でオリックス金子の内角低めのシュートを振り抜いた。「体が反応して回転で打てた。バットが外回りせず、内から出てきたから切れなかった」と納得の1発は、ライナーで左翼席へ。プロ6年目、通算22本目で、初のグランドスラムを放った。

 試合前から気持ちは高まっていた。故障明けのエースが相手。ミーティングで伊東監督にハッパを掛けられた。「最初の試合を、うちに当ててきた。どういう意味だ? 今までやられている。つぶしてやろう!」。過去2年は1勝6敗とかもにされた。指揮官の言葉に、清田は「絶対に負けられない」。同時に思った。「球界のエースと対戦できる」。

 好投手との対戦にも、気負わなかった。その心理は、打撃にも通じる。試合前のティー打撃は革手袋をつけて行う選手が多い中、素手で行うのが清田流。「ホームランと思うと力んでしまう。まずは力を入れずにスイングできるように」するためだ。あくまで、強い打球を意識する。その結果の1発だった。今月9日に1番に座ってからは10試合連続安打。規定には6打席足りないが、打率3割5分9厘の隠れ首位打者だ。

 チームは今季最多4連勝で、借金はついに1。今日も勝てば、勝率5割で交流戦に入れる。ただ、清田の顔は決して浮かれていなかった。「ホームランの後、打てなかった。今日は今日。振り返ります」。一喜一憂せず、もう次に気持ちを向けていた。【古川真弥】