ソフトバンク寺原隼人投手(31)が、7回2安打無失点の好投で403日ぶりの勝利を挙げた。昨年5月に右膝を手術し、勝ち星は昨年4月16日楽天戦以来だった。苦しいリハビリに耐えた末につかんだウイニングボールだが、惜しげもなくスタンドに投げ入れた。「別にいらないんで」。最高の結果を出した充実感に満ちていた。

 打線が今季最多タイ15安打12得点の援護をしてくれたが「点差があったからこそ締まった試合をしないと」と集中した。11点リードの7回1死一塁、大谷にはこの日最速の149キロを連発。力で追い込み最後はフォークで三邪飛に仕留めた。5日の初先発後、中継ぎで3試合登板。しっかり腕を振る感覚をつかんだ。

 手術した右膝は週1度のケアが欠かせない。膝にたまった水を抜き、ヒアルロン酸の注射を打つ。「今はいい感じ」。手術した決断は間違っていなかった。工藤監督は「今後もしっかり先発で使うというほど、いい内容だった」。6連戦となる交流戦でローテ入りを当確させた。

 この日、福岡では子どもの運動会だった。札幌への移動前に小学4年の長男から「走るの頑張るから、頑張って」と約束された。親子の、男同士の約束を守った。「(福岡で)喜んでいてほしいですね。いい投球ができてよかった」。復活の1勝が、最高のお土産になった。【石橋隆雄】