いきなり、首位打者で登場だ。ロッテ清田育宏外野手(29)が「日本生命セ・パ交流戦」広島3回戦で5打席に立ち、規定打席に到達。3安打2四球で打率を3割6分8厘に伸ばし、ソフトバンク柳田を抑えリーグトップに躍り出た。右膝靱帯(じんたい)を痛めたアルフレド・デスパイネ外野手(28)が離脱。暗いムードになりかけたが、1番として打線を引っ張り、今季最多12得点の勝利に導いた。

 乗ってる男は、ツキもある。5-3の6回2死一、二塁。清田は、広島野村のスライダーを待っていた。ところが、初球のシュートに「思わず手が出てしまった」。どん詰まりでフラフラと上がった当たりが中前にぽとりと落ちた。「ヒットはヒット。ラッキーでした」と素直に喜んだ。前打者の代打福浦に続く適時打を放ち、リードを3点に広げた。この回は、清田を含め5者連続適時打の猛攻だった。その中で、絶好調のバットマンも仕事をした。

 勢いが止まらない。1回は中前打で出塁し、先制ホームを踏んだ。2回は同点の右前打。最後は8回に四球を選び、ちょうど規定打席に到達した。その時点で打率3割6分8厘。前日から1分4厘も上乗せした。リーグトップだったソフトバンク柳田も2本塁打で1厘、伸ばしたが、それを上回る伸びだった。いきなり、首位打者に躍り出た。

 肩の力が抜けているのが、いいのかも知れない。ヒットを量産し、にわかに注目を集め始めたこの2週間。取材が一気に増えたが「ピンと来ないですね。ボールが止まって見えるなんてこともない。全然、動いてるし、ストライクゾーンも一緒」と笑い飛ばす。この日もそう。残り5打席で規定到達を知ったのは、試合直前だった。「ヒーローインタビューの人から聞きました。試合中は忘れてましたよ」。だから、首位打者に立っても「狙いたいけど、まだまだシーズンは長い。1打席を大事に」と言うだけだった。

 大事にしているのは、試合前の練習からだ。「来たコースを打てるのがベスト。基本はセンター返し」と、この日も中堅中心に打った。デスパイネが離脱し、攻撃力が大きく低下しかねないが「みんなでカバーできたら」と全員の気持ちを代弁した。つなぎのロッテ打線。その先頭に立つ。【古川真弥】