いつにない緊張感が、西武西口文也投手(42)の表情から漂っていた。2013年9月1日、オリックス戦以来の先発で「もう忘れちゃったよ」というマウンドだった。77球を投げて4回4失点。久しぶりという事実を差し引いても、満足できる内容ではなかった。

 反省点に挙げたのは、4回の3失点だった。簡単に2死を取った後、4連打で3失点。「出来はそんなに悪くなかった。ツーアウトを取ってからの失点が、もったいなかった。きっちり抑えないといけなかった」と振り返る。最速は144キロだったが、大半は130キロ台後半の球速。変化球の投球で、巨人打線をかわし続けられなかった。

 昨年は中継ぎ調整だが、今年はキャンプから先発投手としての調整で、万全を期していた。2012年6月23日以来、1069日ぶりの勝利はならなかったが「久しぶりの1軍マウンドは、気持ち良く、いい緊張感の中で投げられた。今後は粘りのピッチングを大事にしたい」と気力はなえていない。来週は離脱中のエース岸が復帰する予定で、西口の先発機会は難しいが、田辺監督は「ほかの投手との兼ね合いがあるから、もう少し考えさせて」と明言はしなかった。とりあえず、翌日の登録抹消はせず、登板チャンスを待つことになった。【小島信行】