「福良オリックス」の初勝利は、ドラフト1位左腕の山崎福也(さちや)投手(22)が運んできた。5試合目の先発は中日大島に2ランを浴びて降板も、6回途中2失点でプロ初勝利を挙げた。森脇監督の休養でチームを率いる福良淳一監督代行(54)は、4戦目でようやく白星。「福&福」でチームの6連敗もストップした。

 投げて、打って山崎福は記念のボールを2つも手にしていた。「やっと1勝できて、すごくうれしい。最後はかなりドキドキしてベンチから見ていた。自分の後に投げてくれたピッチャーが抑えてくれたので感謝してます。自分らしいテンポで変化球を低めに集められたのが良かった」。こちらも“初勝利”の福良監督代行とともに、笑顔で写真撮影に応じた。

 2回の1死一、二塁をしのぎ、5回まで無失点。未知のイニングだった6回は無死二塁から大島に右越え2ランを許し、降板した。だが1点差で託したリリーフ陣がしのいでくれた。「ホームランを打たれた球は力が入ったけど、それまではいい力の抜け具合で投げられた。2軍でやってきたことを、1軍のマウンドでも結果を出せたので良かった」と振り返った。

 開幕ローテに抜てきされたが結果を残せず、4月12日の3戦目後にファーム降格。吉田2軍投手コーチとマンツーマンでフォームを再確認した。「今思えば、シーズン最初のころは上半身や手首に力が入りすぎていた」。東京6大学で通算20勝を挙げた左腕は、自信を取り戻していった。

 プロ初勝利の前には、プロ初打席で安打も記録した。2回、明大の先輩岩田から直球を中前打。「まさか1打席目で打てるとは。記念のボールが2個になって良かった」。やっとプロの第1歩を踏み出したルーキーに、福良監督代行は「本当に良かった。次も期待できる」と目を細めた。指揮して4戦目での1勝には、「選手が頑張ったから」とたたえた。【大池和幸】

 ◆山崎福也(やまさき・さちや)1992年(平4)9月9日、埼玉県生まれ。中学3年時に脳腫瘍の手術を受け、生存率10%といわれながら回復。日大三3年春の甲子園で準優勝し、打者としても大会最多タイとなる13安打をマークした。明大では通算20勝。14年ドラフト1位でオリックス入団。父は元巨人、日本ハム捕手の章弘氏。187センチ、88キロ。左投げ左打ち。