トリは出る! 阪神鳥谷敬内野手(34)が今日30日、ヤクルト戦(神宮)に強行出場する。死球で痛めた背中の状態が心配される中、鉄人は「出るつもり」と力を込めた。29日発表された「マツダオールスターゲーム2015」の選手間投票では、遊撃部門で2年連続2度目の選出を受けた。名実ともに猛虎の顔。当然のようにグラウンドに立ち、チームを首位独走に導く。

 痛みとの闘いは日常茶飯事。腰の骨折、右手人さし指の負傷…。幾多の困難を水面下で乗り越えてきた。今回も同じだ。当然でしょ? そう言わんばかりに、キャプテンはサラリと強行出場を宣言した。

 鳥谷 ダメと言われなければ。自分は出るつもりでいるので。

 前日28日DeNA戦は5年ぶりに7番先発。打順降格には当然、理由があった。21日ヤクルト戦で背中、右脇腹付近に死球を受けて顔をしかめた。状態は決して芳しくないもようだ。それでも指揮官の絶大なる信頼が揺らぐことはない。

 和田監督 出るよ。トリは。

 空路で東京入りした指揮官は明言した。502試合連続フルイニング出場で遊撃手のプロ野球記録を更新中。28日DeNA戦では手負いの状態ながら、好守と1安打2四球で快勝の中心を担った。走攻守で代えが利かないピースだから、今日30日ヤクルト戦も強行出場は確実だ。チームは6連勝で2位巨人に2ゲーム差をつけ、上昇気流に乗ったところ。一気に独走態勢を整えるため、鉄人は当然のようにグラウンドに立つ。

 この日は球宴の選手間投票の結果が発表され、遊撃部門で2年連続2度目の当選を果たした。「昨年に続き、選手間投票でも選出していただき光栄です。投票してくださった選手の方々に感謝し、選出に恥じないプレーをお見せしたいと思います」。すでに4年連続でファン投票選出され、6度目のお祭り舞台を決めていた。2年連続でのダブル選出には、鉄人ぶりへの敬意も含まれているはずだ。

 7番先発は一時的な措置に過ぎない。指揮官は「もちろん、基本的には(上位を打つ選手だから)ね」と説明。患部の状態が上向き次第、近日中にも上位打線への復帰が見込まれる。福留、ゴメス、マートンといった主軸は本来の力を発揮し始めた。続けて「猛虎の顔」が完全復調して初めて、V奪回ロードの整備が終わる。【佐井陽介】

<鳥谷鉄人メモ>

 ◆連続試合全イニング出場を502試合として継続中。12年の開幕戦、3月30日DeNA戦(京セラドーム大阪)からフルイニング出場を開始し、遊撃手としてのプロ野球記録を保持している。

 ◆06、08、12~14年シーズンは全イニング出場を達成。今季も達成なら、金本知憲(広島-阪神)の10度に次いで、松井秀喜(巨人)と6度で並ぶプロ野球2位となる。

 ◆連続試合出場は1536試合で、衣笠祥雄(広島)の2215試合、金本知憲の1766試合に次ぎ、史上3位。

 ◆手負いでも 右手人さし指を負傷していた11年5月17日には、交流戦オリックス戦(京セラドーム大阪)で3番指名打者でスタメン出場し、連続試合出場を917に伸ばした。試合前練習では故障箇所を医療用テープで固めて臨んでいたほどだった。