猛虎に新兵器! 阪神荒木郁也内野手(27)が絶妙な盗塁で同点を演出し、ヤクルトを苦しめた。1点ビハインドの8回1死。マートンが内野安打を放つと、代走で出番がやって来た。6月23日広島戦以来、1週間ぶりの出番に発奮だ。

 続く6番今成の2球目。「自分の判断でいきました」。スタートを切った。捕手中村からはストライク送球が届いたが、タッチをかいくぐり二塁へ到達。7番鳥谷の内野安打の間に、判断良く同点の本塁を踏んだ。願い通りの足攻に平田ヘッドコーチも「負けたけれど、彼ら(選手)の頑張りでここまできた。今日も荒木が魅せてくれたじゃないか。2球目にいって見事に決めてくれた」と仕事ぶりに賛辞を送った。

 最終的に接戦を落とし、6連勝でストップ。それでも12球団最低の26盗塁と数字が伸びない中、敗戦試合で価値ある盗塁が生まれた。首位をキープしても依然、得失点差はマイナス67点。接戦を落とさない今年の強みを維持するため、荒木の足は今後の武器になる。「決められましたけれど、チームが勝てなかったので…」。笑顔のない表情と対照的に、存在感が際立った神宮の夜だった。【松本航】