この日は笑顔だった。ロッテ岡田幸文外野手(30)が2回1死満塁で先制2点適時打。お立ち台で、満塁で打席に向かった気持ちを聞かれた。「よだれが出ました」。スタンドのファンと一緒に笑った。

 冗談めかしたが、特性を生かした一打だった。楽天菊池に2球で追い込まれた。「初球直球を見逃し。2球目も直球をファウル。どうしよう」という土俵際でバットを短く持ち直した。いつもの指2本分より、さらに短く3本分あまらした。「粘って四球が理想。打つなら引っ張りは捨てて三遊間に」と狙った通り、たたきつけた高いバウンドで遊撃三好の頭上を越した。

 6試合連続先発出場中だが、それまでは控えが主。ベンチで配球を読み、仲間を参考にした。2ストライクからノーステップで打つ清田にヒントを得て、追い込まれたらバットを短く持つようにした。控えの日々は「無駄ではなかった」。

 前回2安打2打点でお立ち台に立った6月27日オリックス戦では、壇上で笑えず無愛想になってしまった。「呼ばれると思わなかった。スタメンになってすぐ。(控えで)悔しかったし、気持ちの整理ができなくて」と、当時の心境を明かした。今回は5回には三塁打で3点目につなげ、文句なしのヒーローだ。一本気な選手会長の働きで4連勝。1カ月ぶりに貯金をつくった。【古川真弥】