日本ハム大谷翔平投手(21)が「速度規制」されることになった。マツダオールスターゲーム2015(17日・東京ドーム、18日・マツダスタジアム)にパ・リーグの先発投手部門でファン投票選出されたが、栗山監督らが「異例」の通達。昨年は日本人最速、球宴史上最速の162キロをマークしたが以降の後半戦で低迷し、同様の事態再発を警戒。球速に固執しないよう、厳重に求める。

 スピード違反は、厳重に取り締まる。大谷が、お祭りモードのギアチェンジを厳禁されることになった。球宴まであと10日。事前にパトロール警戒中なのは、栗山監督だ。昨年を回想し、強い意思表明をした。「誰が見てもあそこでおかしくなった。短いイニングを投げたらスピードは出る。でも同じことをやったら『スットコドッコイ』だよね」と、通常運転を命じた。

 日本中の度肝は抜いたが、ほろ苦い経験がある。大谷は昨年、投手で初めて監督推薦で球宴に出場。日本人最速に加え、球宴史上最速となる162キロをたたき出した。直前の6月にプロ入り2年目で初めて160キロ台の大台をマーク。球速がクローズアップされる状況下だった。「狙いにいくと言ったら、狙いにいかされた感じ」。期待に応え盛り上げたが代償もあった。

 昨季は前半戦15試合登板で9勝1敗、防御率2・23。球宴明けの後半戦から失速した。9試合登板で2勝3敗、3・24と低下し安定感を欠いた。球宴用の特別仕様の投球で、理想のパフォーマンスを見失ったことが停滞の要因の1つとみられていた。栗山監督は「それはアツ(厚沢投手コーチ)に言ってある」と今回は禁じ手だと、チームの首脳陣間で意思統一もした。

 大谷は現在、両リーグトップ9勝をマーク。「短いイニングで投げられる機会は少ないので、全力でいきたい」。昨年同様に球宴には意欲的も、栗山監督はエースだけに自制を促した。「(大谷も)いろいろ考えているはず。(失敗を)生かせなかったら超一流になれない。『スットコドッコイ』だけど信用はしてる」。今季の最大目標は、まずリーグVだ。本気でアクセルを踏むのは勝負本番。躍る心に軽くブレーキを利かせ、大谷が祭典へ向かう。

 ◆大谷の14年球宴VTR 第2戦(甲子園)に先発し、初回先頭の鳥谷への2球目、5番阿部への初球に162キロ。10年8月26日横浜戦(神宮)の由規(ヤクルト)、09年WBC決勝・韓国戦のダルビッシュの161キロを抜いて、日本人史上最速を更新。公式戦ではクルーン(巨人)が08年6月1日ソフトバンク戦(ヤフー)で162キロを計測しているが、球宴では同年第2戦(横浜)の161キロが最速で、大谷は球宴記録も更新した。1回打者5人に対して23球を投じ、直球21球はすべて157キロ以上だった。