史上2人目の年少到達だ。楽天松井裕樹投手(19)が日本ハム戦で2点リードの9回からマウンドに上がり、空振り三振2つを奪うなど3者凡退に抑えて逃げ切った。球宴明けとなる後半戦初戦で、節目の20セーブ目をマーク。高校野球の神奈川大会で戦っている母校・桐光学園の劇的勝利にも刺激を受け、10代守護神としてセーブを積み上げていく。

 松井裕には、この季節がよく似合う。高校野球真っ盛りの夏。1試合22奪三振を奪った時のように、豪快に腕を振った。9回無死、カウント1-2からの6球目。日本ハム近藤を外角高め148キロの直球で空振り三振に切って取る。続く岡は外角低めのチェンジアップで空振り三振。最後の矢野は146キロの直球で押し切り、右飛に仕留めた。「うちの一番良い形で勝てた。投手が投げて守って、こういう点差の試合を勝てて良かった」と胸を張った。

 負けられない存在がいる。母校・桐光学園の後輩たちだ。この日は神奈川県大会の4回戦。2点差の9回に3点を奪い逆転勝利を収めた。高校3年時にともにプレーした1年生が主力となっているため「特別気にする最後の代。一緒にプレーした3人が引っ張って欲しい」と常に気にかける。球宴休みとなった前日19日には習志野(千葉)でメンバー入りしている弟和輝外野手(3年)の応援にお忍びで向かい、刺激を受けた。

 プレーは高校野球のように全力、しかしブルペンではクレバーだ。抑え転向後、2球の違いが好調を支えている。守護神を任された当初はブルペンで肩を温めた後に、登板前に11球投げていた。しかし経験を重ね、今は9球に減らした。外角、内角へ直球を2球ずつ、スライダーを2球、チェンジアップを2球、そしてセットポジションで1球。「2球でも長いシーズンを重ねた場合は、数百球の違いになる」と自ら考え、少ない球数で肩をフルスロットルに仕上げている。

 これで史上2人目の10代20セーブを記録。防御率0点台の守護神にとって2点差はもはやセーフティーリードだ。大久保監督も「初球の入りが良かった。いろんなものを経験して大きくなっている」と1試合ごとに成長する左腕に目を細めた。球団記録は22セーブ。甲子園の奪三振記録と一致する数字を超えるのは時間の問題だ。【島根純】

 ▼松井裕が今季20セーブ目。高卒2年目に20セーブ以上は、27セーブを記録した95年平井(オリックス)に次いで2人目だ。松井裕は今季37試合目だが、登板状況を出すと、リード21試合、同点13試合、ビハインド3試合で、唯一の黒星は同点で登板した7月4日日本ハム戦。リードで登板した21試合のうち5月6日日本ハム戦はセーブが付かない5点差で、セーブが付く条件で登板した20試合はオールセーブ。セーブ失敗なしで20セーブに到達した。