記録ずくめの大勝だ。楽天が球団新記録となる19点で日本ハムに勝利した。序盤の3イニング連続で5得点以上をマークしたのも球団新で、ど派手に4連勝を決めた。大久保博元監督(48)が捕手伊志嶺の打力を買い、7番左翼で起用。3ランを含む4打点と采配がズバリ的中した。また2ケタ得点は85試合目で今季初。11年の84試合目を更新する球団最遅記録となったが、その鬱憤(うっぷん)を晴らす猛打爆発だった。

 デーブ采配が球団記録を塗り替えた。18安打19得点で10年前の最多得点記録を更新。試合後の会見で大久保監督はいつもよりちょっぴり早口だった。「初めての2ケタ得点でしょ。中日が1回もなくて優勝したと聞いて、希望を持ってやってきた。本塁打も出たけどつなぐ意識で、外国人が打点を挙げればこうなる。出来過ぎだよ」。あふれ出る言葉に喜びがにじんだ。

 節目の一打は松井稼だった。17-3で迎えた6回2死二、三塁。日本ハム鍵谷の初球、外角150キロの直球をコンパクトに振り抜いた。打線の勢いを象徴するような鋭い打球は右翼フェンスに直撃。日本ハムファンのため息とともに走者2人が生還し、19の数字がスコアボードに刻まれた。3安打4打点と日本通算2000安打まで残り5本とした一撃。球団記録樹立に貢献し「前がドンドン出てくれたので僕も打たせてもらいました」と振り返った。

 「超積極的野球」を実践した。四球を選び、塁を埋め、仕留める。3回までに押し出しを含む8四球。ボール先行のカウントから、ストライクを取りに来たところを逃さない。大久保監督が12年に1軍打撃コーチに就任し、2軍監督時代も口を酸っぱくして言い続けてきた好球必打。「4年前から星野監督に許可をもらってやっていた。選手が自分のスイングをできた」と闘将もお墨付きの打撃で2回、3回と2イニング続けて打者一巡の猛攻。3イニング連続で5得点以上は球団初の快挙だった。

 サプライズ起用もズバリ的中した。捕手伊志嶺を7番左翼に抜てき。昨年の秋季キャンプでは付きっきりでロングティーを行うなど長打力に一目置く存在だった。球宴休みから急造で外野練習をさせ、攻撃的なオーダーに組み込んだ。初回に3ランを放つなど、4打点の活躍に「伊志嶺が入ったのは大きかった。戦うパーツが増えた」と喜んだ。

 今季初の2ケタ得点は、球団で最も遅い記録となった。「ファンのみなさんに80試合以上ストレスをかけた。こういう試合が出来たのは大きい」と胸をなで下ろした。快勝で4連勝。大好きな槙原敬之の曲「遠く遠く」のように、最多得点の知らせは北の大地から離れた仙台の地に届いたはずだ。【島根純】

 ▼今季12球団で唯一2桁得点がなかった楽天が19得点。19点は05年9月2日オリックス戦の18点を上回る球団最多得点。1イニング5点以上のビッグイニングを3回続けたのは、球団史上初めてで、03年ダイエーが8月1日オリックス戦(スコア29-1)で1回7点、2回8点、3回8点を挙げて以来12年ぶり。