1人で投げ切った。ロッテ大嶺祐太投手(27)が楽天打線を8安打無失点に抑え、2年ぶりの完封で4勝目を挙げた。無四球完封はプロ9年目で初。初回からテンポよく、外国人打者にも臆さない内角攻めが効いた。チームは今季2度目の同一カード3連勝。最大7まで膨らんだ借金は4に減り、次カードは3ゲーム差で追う3位西武。連勝が続けば、Aクラスが近づく。

 異様な空気にも、大嶺祐は動じなかった。9回2死走者なしで楽天松井稼。4回に内野安打を打たれ、日本通算2000安打に王手をかけられていた。10-0と勝負は決していたが、偉業達成を期する敵地のファンから地鳴りのような拍手。マウンドで「自分自身、限界に近い。打たれるならしょうがない」と開き直った。低めのフォークを引っかけさせて二ゴロ。駆け寄ってきた捕手の田村と喜んだ。

 今日は、いける。初回から指揮官に思わせた。3人をわずか6球で処理。伊東監督が注目したのは、ウィーラー、ペーニャへの攻めだった。どちらも内角への直球で差し込ませた。「今までにないアウトの取り方。インコースを上手に使っていた。いつも話していたこと。昨日まで2つ勝ったけど、攻め切れていなかった。初回を見て、今日はいけるなと」と、バッテリーに厳しい指揮官をうならせた。

 本人は少し違う。大嶺祐は「初回3者凡退だと、その後に失点する確率が高いイメージがあった。だから2回も先頭を取ることを意識しました」。実際は、今季13度目の先発で初回の3者凡退は初めて。最高の滑り出しにも油断しなかった。8回109球で交代を打診されたが「中継ぎの方に助けてもらっているので」と続投志願。「点差を気にするな」という一塁大松の声にも支えられ、その結果の無四球完封だった。

 チームに3連勝をもたらし、西武追い上げの舞台を整えた。「火曜日は五右衛門(石川)が良い投球をしてくれると思います」。次カード初戦先発の同い年右腕に託した。【古川真弥】