エースの緊急降板を、同学年の4番が救った。巨人亀井善行外野手(33)が3-3の延長10回、サヨナラ2ランを決めた。今季2度目の先発となった内海哲也投手(33)は7回途中で左ハムストリングス(太もも裏)をつって降板したが、3失点にまとめた。亀井が昨年5月31日のオリックス戦でも延長12回に決勝アーチを放った験の良い場所で2連勝に導き、内海は復活への1歩をしるした。82年生まれの投打の軸が、浮上のキーマンになる。

 緊張が走った。7回1死一、三塁。92球目となる白崎への1球目を投じた直後、内海が左手を挙げた。斎藤投手コーチとトレーナーがマウンドへ。内海は屈伸し、左もも裏を何度もたたくも回復しなかった。6月5日ソフトバンク戦に続き、足がつって緊急降板。7回途中3失点。並の投手なら及第点だが「チームに迷惑をかけて申し訳ない。原因は分からないのでどうしたらいいか迷っています」と反省した。

 期待の大きさを分かっていたからこその、落胆だった。リーグ再開前、原監督から後半戦のキーマンに指名された。伝え聞いた内海は強烈な日差しが降り注ぐジャイアンツ球場の駐車場で足を止め、力を込めた。

 内海 (状態は)試合になるとまだですね。メンタルがほとんどだと思う。もうやるしかないと思ってとにかく頑張ります。順調に来ているんだと信じたい。

 技術、体力、コンディション。2軍では、できることはやった。そんな中、23日に杉内が股関節痛の悪化で離脱。「今度は自分がカバーする」。エースの自覚が決意をさらに強くした。

 いきなり飛ばした。12球で先制されたが、自分を貫いた。内外角に高低とゾーンを目いっぱい使う内海ならではのピッチング。最速は140キロと、力強さが戻っていることも証明した。

 次回は状態次第も、原監督は「私の中では戻ってきたと思っています。この状態なら次もあるでしょう」とゴーサイン。内海は「チャンスをもらったら最善を尽くしてやるだけ」と誓った。完全復活まで、あと少しだ。【浜本卓也】

 ◆内海の今季経過 3月4日の日本ハムとのオープン戦後に左前腕に異変を訴えた。開幕には間に合わず、4月23日のイースタン・リーグ日本ハム戦で実戦復帰。1軍では6月5日のソフトバンク戦で今季初登板初先発を果たしたが、両太もも裏がつったため、4回途中5失点で降板。翌6日に出場選手登録抹消。杉内が23日に持病の右股関節痛悪化で離脱。1軍の先発陣が1枠空き、ローテーション再編。22日のイースタン・DeNA戦で8回無失点に抑えた内海に2度目の先発が巡ってきた。