日本ハム大谷翔平投手(21)が、プロ初の完投負けを喫した。7回に先制点をもらった直後、西武メヒアに逆転2ランを浴びた。8回2失点の完投も実らず、対西武はプロ初黒星。自身の2試合連続敗戦も今季初で、シーズン自己最多12勝目はまたお預けとなった。2時間22分はチームの今季最短試合で、連勝は3、西武戦の連勝は7でそれぞれストップした。

 すがすがしく敗者になった。1点を追う9回2死一塁。大谷は、さわやかに今季3敗目を受け入れた。西武岸とエース同士、最高ランクの投手戦。マウンドを分け合い、伴走してきたライバル右腕が、最後の打者・田中を二ゴロに打ち取る。一塁ベンチ前で、延長に備えていた肩慣らしのキャッチボールをやめた。白球を、声援を送ってくれた観客に手渡しでプレゼント。気持ちの整理をつけた。

 勝負を分けたのは、終盤の攻防だった。「投げている、こちらも楽しい。ファンの方にも楽しんでもらえたら」。大谷が、岸に導かれるように最上のリズムを刻み、迎えた7回。0-0から、田中の適時打で1点の援護をもらった。直後、その裏。1死二塁からメヒアだった。2球目のフォークが抜け、やや高め真ん中へ、左翼席中段へ運ばれる逆転2ランが、決勝弾になった。

 1つの節目へ、2度目の挑戦もはね返された。自身シーズン最多12勝目をかけ、前回4日ソフトバンク戦で黒星。この日も屈し、今季初の連敗を喫した。チームの連勝は3で、西武相手の連勝も7で止まった。同一リーグの助っ人相手に、プロ初被弾。1球に泣いた。「変化球が全部、良くなかった。普通に落とそうと思ってフォークを投げましたけれど」。ギャンブルの選択が、痛恨だった。

 勝負に負けたが内容十分に8回を投げ切り、今季3度目の完投。変化球の精度に苦慮し、フォームのバランスを崩しながら快投した。この日最速159キロの速球を軸のパワー投球で、ゲームメークした。大谷は「直球しか投げる球がない中で、抑えられたのは良かった」と納得の113球。大黒柱同士のせめぎ合いを、経験した。緊迫の2時間22分。激闘を成長促進剤に、再出発する。【高山通史】

 ▼日本ハム大谷が西武メヒアに逆転本塁打を浴びたが、これが同一リーグの外国人選手からのプロ初被弾だった。通算15本目の被弾で、助っ人には昨年6月4日広島戦(札幌ドーム)でエルドレッドに打たれて以来、2本目。球場別では札幌ドームの5本に続き、西武プリンスドームではビジターで最も多い4本を献上している。

 ▼日本ハム大谷が西武戦でプロ初黒星。昨年4月12日の初登板から8試合で6連勝中(2試合は勝敗つかず)だったが、9試合目で初めて敗戦投手となった。