オリックスのドラフト6位・佐藤世那投手(18=仙台育英)が、初めてのプロキャンプ(2軍)で奮闘中だ。昨夏の甲子園準V投手で、高校日本代表のエース格だった右腕は、疲労から来る右膝裏の張りのため、セーブしながら練習している。高校時代の同僚で、ロッテのドラフト1位・平沢大河(18)らが1軍に食らい付いていることから、「焦りしかない」と漏らしたが、アクセル全開! と踏み込めるまでじっくりと調整していく。

 背中に「SENA」のネームを付けた佐藤世が、ブルペンで堂々たる風格を醸し出していた。一番隅のマウンドで捕手を立たせたまま約40球。疲労から来る右膝裏の腫れで全力投球とはいかないものの、昨夏の甲子園決勝で対戦した同期入団の吉田凌(18=東海大相模)と並び右腕を振った。「リョウとはいつも隣。負けないようにやっていきたい」と切磋琢磨(せっさたくま)しながら1軍を目指している。

 甲子園を沸かせたルーキーはすでにファンからもモテモテ。練習の合間に外を歩けばサイン攻めに遭い、その全てに丁寧に対応した。「甲子園見てました」「フォークが見たいです」と声をかけられ、子どもたちに囲まれれば、「セナがんばって~」と背中を押される。仙台育英でともに戦った平沢が1軍で高い注目を集めていることにも刺激を受け「あいつの報道を見るたび、焦りしかない。自分も早く1軍でやらなきゃって思うんですよね」と素直な心境を口にした。

 キャンプイン後、すでに10回以上ブルペン入り。今はピットイン中だが「そのうち自分らしく投げられる日が来ると思うので楽しみ」と笑顔も見せる。テークバックの大きいフォームはそのまま、プロで通用する形に仕上げるように調整中だという。上半身と軸足の使い方を安定させ、「大きくいじらなくても大丈夫みたいなので安心してます」と話した。

 大事を取っている右膝についても「痛みがあるわけでもないし、問題ない。むしろ早く投げ込みたい」と不安はない。まずは2軍での実戦登板をこなし「1日も早く1軍に上がって平沢と対戦したいですね」と前を見つめた。【成田光季】