ソフトバンク松坂大輔投手(35)が1年ぶりに1軍のマウンドに帰ってくる。9日、筑後室内練習場でシート打撃に登板。のべ15人の打者に対し4安打。工藤監督が視察する中、最速143キロの直球と変化球でバットを2本へし折った。インターバルを2度挟み、3イニング想定で62球を投げた。15日オープン戦ロッテ戦(QVCマリン)で今季初めて1軍登板を果たす可能性が高い。

 松坂が力強く1軍マウンドをたぐり寄せた。右肩手術後初の実戦登板となった3日韓国・斗山との練習試合から中5日、新築の筑後室内練習場でシート打撃に登板した。

 「昔とは違う。いろんな球をいろんなところに散らしながら投げる」。主体となる直球はこの日最速143キロ。大きく曲がるスライダー、落差の大きいチェンジアップに加え、メジャースタイルの細かい変化球を使いベース上で球を動かした。カットボールで右の猪本にはバットを折り、左の牧原には外角ボールゾーンから食い込ませ見逃し三振。今季初めてフォークも2球試した。

 8度対戦し3安打を放った牧原は「球種が多いので、どのボールを狙っていいか分からない。直球もきてますし、変化球もブレーキが利いている」と、攻略しづらいと苦笑いした。正午の開始時には、この日ヤフオクドームで巨人とのナイターのある工藤監督も、車で1時間以上をかけて駆けつけた。その目で状態を確認した工藤監督は「今の肩の状態は把握している。次投げる日はセッティングしている」と話し、「1軍か」と問われると「そうですね」と答えた。

 1軍マウンドは昨年3月17日ロッテ戦(ヤフオクドーム)以来。松坂も「投げられる機会があれば1試合でも投げたい」と待ち望むマウンドだ。登板一夜明けの今日10日の右肩の状態で正式決定するが、倉野投手総合巡回コーチが「(決定している5人の)開幕ローテーションに影響がないところで」と話すように、中5日で15日ロッテ戦(QVCマリン)が濃厚。翌16日西武戦で10年ぶりに西武プリンスドームのマウンドに登る可能性もある。

 先発で3、4イニングを投げる予定。結果は問わず1軍の感覚を取り戻させる。5月から必要となる6番目の有力候補になった。もうリハビリではない、V3への戦力として平成の怪物が準備を始める。【石橋隆雄】

 ◆松坂の右肩を巡る経緯

▼15年3月17日 ロッテとのオープン戦で日本復帰3度目の登板。6回4安打3失点も最速145キロ。

▼4月2日 右肩筋疲労のため無期限ノースロー調整が決定。

▼5月20日 ウエスタン・リーグ、オリックス戦で64日ぶりに実戦登板。救援で2回2安打1失点、最速142キロ。

▼8月18日 内視鏡による右肩関節唇、腱板(けんばん)クリーニング術、ベネット骨棘(こっきょく)切除術、後方関節包解離術を受ける。

▼11月中旬 医師からスローイング再開の許可を受ける。

▼16年1月 米ハワイで2度ブルペン入りし帰国。

▼3月3日 斗山(韓国)との練習試合で288日ぶり実戦登板。先発で2回20球を投げ、打者6人を無安打。最速141キロ。