41日ぶり白星でマジック2!! 広島黒田博樹投手(41)が「日本生命セ・パ交流戦」楽天1回戦に先発し、8回無失点。毎回走者を許しながらも粘球で今季5勝目を手にした。日米通算200勝まで残り2勝とした。4月30日中日戦(マツダスタジアム)以来の白星で、チームを2連勝、今季最多タイの貯金7に導いた。ベテランがチームの勢いを加速させた。

 テンポよく、捕手石原のミット音が響いた。黒田は9年ぶりの地で、悪い流れを振り払うように右腕を振った。「ヒットはOK。リズムだけを作っていこうと思った」。味方の援護点を力に変え、最後まで自分のペースを貫いた。

 8回まで毎回走者を許した。許した安打は2回以降毎回の9本。それでも得点を許さなかった。「序盤の得点もあり、ピンチという感覚はなかった」。先発に5人並べた左打者には外角高めへのカットボールが効果的だった。1回に3者連続三振を奪うなど、今季最多の1試合7三振を奪った。6回は米国時代も対戦経験のある代打松井稼をツーシームで狙い通りの併殺に打ち取った。7回で球数は104球。だが「リリーフも登板が続いていた。もう1イニング投げると、リリーフにもいい流れができる。こういう展開だからこそ力になれれば」と8回のマウンドも志願した。

 右肩痛と頸部(けいぶ)神経根症による登録抹消を経て、今も満身創痍(そうい)だ。前回3日ソフトバンク戦で自身初の3者連続本塁打を浴びた。4試合勝利なし。通常、休養に充てる登板2日後も調整を行った。「現状維持ではいけない。少しでも追い込んで、昨日より今日と思ってやらないと」。41歳となった今も立ち止まろうとはしない。足踏みしていた日米通算200勝へのカウントダウンを4月30日の中日戦以来、ようやく減らした。

 6月2日は母靖子さんの命日。5月27日DeNA戦登板後、同29日は大阪に立ち寄り、墓前にあらためて誓った。「一生懸命、最後までやり抜くことが求められていると思う」。幼少期から厳しくしつけられた母の存在が、妥協を許さぬ男気(おとこぎ)の礎となっている。

 今季最多タイの貯金7に導いたベテランに、緒方監督も「持ち味を出して、しっかり8回を投げてくれた」と最敬礼だ。2位巨人に3ゲーム差。一気に首位固め、そして大記録、さらには91年以来のリーグ優勝への期待が高まる。だが、試合後はいつもの黒田節。「まずは次の試合にしっかりとした状態で上がることを考えたい。先のことを考える余裕はない」。41日ぶり勝利にも、これまでと変わらぬ落ち着きで次回登板を見つめた。【前原淳】

 ▼91年の広島 ベテランと若手が融合し、9月に中日との直接対決を制すると、その後は首位を守った。2年目の佐々岡が17勝でMVP、沢村賞。川口12勝、北別府11勝、抑えに再転向した大野が26セーブを挙げた。打線はチーム最多本塁打が江藤の11本と長打力を欠いたが、31盗塁の野村、14盗塁の前田ら機動力でカバー。試合巧者ぶりを発揮した。