あれ、ウル虎打線のカラータイマーがもうピコンピコンいってるやん。ヤクルト3連戦で38安打、24得点した打線が急停止。2日で9打点を挙げた原口をスタメンから外した影響か、6安打1得点の攻撃は迫力不足に映った。金本知憲監督(48)は積極的に代打攻勢をかけながらも、最後までつながらず。7、8、9回と先頭打者安打も無得点に終わった。

 あまりにも皮肉な悪循環を招いてしまった。12年以来、白星から遠ざかる中日先発伊藤に苦戦。3点を追う5回、制球を乱したのに乗じて反撃機を築く。金本監督も動く。2死一、二塁で鶴岡から代打原口へ。四球でつなぎ満塁になる。だが巡り合わせが悪い。打順は藤浪だ。指揮官は思案した末に勝負を託したが、見逃し三振…。もどかしさだけが募る逸機になった。

 金本監督 (藤浪は)上がり調子やった。普通の投手とちょっと違うし、ブルペン事情とかもあったりしてね。あそこは代打を行きたいところだったけど。

 勢いに乗れない。前日28日までヤクルト3連戦3連勝し、4戦連続の2桁安打で今季最長の4連勝中だった。この日、先発オーダーを書き込む公式打順表。指揮官の思考はふと止まる。鶴岡か、原口か。エースに復調のキッカケを与えるため、昨季好リードしていた鶴岡を先発マスクに抜てきした。最近2戦9打点の絶好調男、原口を苦渋の決断でベンチスタートにせざるをえなかった。だが、藤浪への温情は実らない。6回1死二、三塁で福留の遊ゴロの間に1点を奪うのが精いっぱい。ジレンマを引きずりながら打線は沈黙した。

 攻めに攻めても、ちぐはぐな内容に終わる。2点差に迫った7、8回は先頭打者が出塁。だが、いずれも北條、代打大和がフライアウトに倒れ、勝機を広げられなかった。劣勢でも、指揮官は積極的に采配した。

 6回は1死一塁で不調の江越に代えて緒方を出す。「(江越は)ちょっと、ここのところ波をつかめていないから。(緒方は)ずっと調子がいいから」と金本監督。その信頼に応えて右中間二塁打で得点につなげた。選手の好不調を見極めた上で勝負どころを任せる用兵はズバッとはまった。

 8回も攻めた。1死一塁でマウンドは左腕岩瀬だ。前打席で快音を響かせた緒方に代えて、1発のある中谷を打たせた。三ゴロ併殺でチェンジとなったが攻撃的な姿勢を貫いた。打つ手は不完全燃焼に終わり、打線は急停止。5位に転落してしまった。【酒井俊作】

 ▼阪神は6安打1得点にとどまり、チーム2桁安打は4試合連続でストップ。阪神は今季の1桁安打試合で17勝46敗1分け、勝率2割7分。2桁安打での24勝7敗2分け、同7割7分4厘を大幅に下回る。2桁安打の試合では6月28日DeNA戦から8連勝中なのに対し、1桁安打では7月3日中日戦から12連敗中。