ソフトバンクが和田毅投手(35)の好投で「マイナス0・5ゲーム差」決戦を制し、リーグ首位を守った。8回4安打無失点で、ハーラートップの13勝目。三塁も踏ませない安定感で、今宮の先制ソロ、吉村の2ランによる3得点をがっちり守った。

 まさに和田さまさまだった。マイナス0・5差という珍現象で迎えた日本ハムとの首位攻防戦。その大事な初戦で8回を4安打無失点。チームの連敗も3でストップさせた。試合終了時、和田がベンチ前でナインを迎えていると、背後から工藤監督が近づきガッチリ握手した。

 和田は「全身、全力で投げたので疲れましたね。今日は今年一番大事な試合。負けたくない気持ちを前面に出しました」。マウンドでは気迫にあふれていた。初回、西川、杉谷と連続で見逃し三振を奪った。9奪三振のうち4つが見逃し。最速146キロと、いつも以上にキレのある直球とチェンジアップを軸に三塁すら踏ませなかった。テンポよくスコアボードに「0」を並べた。

 日本ハム戦に抜群の強さを発揮する。今季6度の登板で4勝1敗。7月29日からは3連勝している。猛追撃してくる相手の勢いを和田が止める。その価値は数字だけでは測れない。前回対戦まで11打数6安打2本塁打と打たれていた大谷も、中前打1本に抑えた。

 前回12日ロッテ戦は134球の熱投も2失点完投負け。この1週間はトレーニング量を減らし、この日の登板に万全の状態に持ってきた。16日の練習前には、自ら電話してプロマジシャンを招いた。約50分間マジックショーをしてもらい、波に乗れぬナインをリラックスさせた。苦しい戦いの中、グラウンド内外でベテランの役目を果たしている。

 工藤監督は「気迫がこもった投球をしてくれた。チームに勇気を与えてくれた」と喜んだ。和田はハーラー単独トップの13勝。そしてチームはマイナス0・5差から、プラス0・5差とした。和田の快投から、3連覇に向けて再スタートを切る。【石橋隆雄】

 ▼この日は両リーグで首位チームが勝利。ソフトバンク、広島ともに早ければ21日にマジックが点灯する。広島は20、21日のヤクルト戦に○○、巨人が20、21日の阪神戦に●●でM21が点灯。ソフトバンクは20、21日の日本ハム戦に○○でM29、○△でM30が出る。両リーグ同日点灯はあるか。