<セCS第2ステージ:巨人8-2中日>◇第4戦◇24日◇東京ドーム

 巨人が投打に中日を圧倒し、3連勝で2年連続32度目の日本シリーズ進出を決めた。クライマックスシリーズ(CS)第2ステージ第4戦を制し、リーグ優勝アドバンテージ1勝を含む4勝1敗でCSを勝ち上がった。2点リードの3回に谷佳知外野手(36)がプロ13年目で初の満塁本塁打などで突き放し、投げては自慢の救援陣が無失点リレーで締めた。31日から日本シリーズ(札幌ドーム開幕)でパ・リーグ覇者の日本ハムと対戦し、7年ぶりの日本一を目指す。

 谷はバットを放り投げ、そのまま万歳した。視線は左翼席へ飛び込むボールを追っていた。「完ぺき。打った瞬間、入ると思ったから、やってしまった」。3回、中日中田からプロ初の満塁アーチを放った。リードを大量7点に広げ、ファンは日本シリーズ進出を確信した。レギュラーシーズンも含め今季最多4万6535人が絶叫し、谷も力いっぱい喜んだ。一塁ベース脇で吉村コーチとハイタッチすると、公称89キロの同コーチがよろめいた。ベンチ前では、大興奮の仲間たちに出迎えられた。

 グランドスラムが効き、レギュラーシーズン同様の強さで宿敵を撃破した。強い理由を聞かれた谷は「点を取られても、みんなが取り返そうという気持ちで戦っている。負ける気がしない」とチームで戦う強さを挙げた。シリーズ中、選手、首脳陣は東京ドームに隣接するホテルに宿泊した。CS開幕前、9日に第2子を授かった谷も例外ではない。わが子に会いたい気持ちを抑え「みんなでやっていることだからね」と同じ宿舎に泊まった。

 これが、結束を高めた。いつもはバラバラに球場入りする選手たちが、シリーズ中は一緒に球場入りすることが多かった。自然と会話も弾む。戦う前から一体感が広がっていた。殊勲の谷は「家族も家で観戦していたでしょう。喜んでいると思う。いい報告ができるよ」と笑った。日本シリーズまで、しばしの休息を求め、選手たちはチーム宿舎を後にした。

 レギュラーシーズンから数え148試合を終えた原辰徳監督(51)が、誰より手応えを感じていた。CSは黒星スタートからの3連勝。うち、2試合は逆転勝利だった。「選手1人1人が非常に強くなったと実感した。いいチーム、強いチームになった」と手放しで褒めた。

 もちろん、最終ゴールは先にある。試合後のミーティングで選手をねぎらうと、すぐに次の決戦に目を向けた。自身、新人だった81年以来となる日本ハムとの日本シリーズ。「(日本ハムは)野球をよく理解している選手がチームをつくっている。胸と胸を突き合わせた戦いをしたい」と言った。油断はできない。だが、7年ぶり日本一奪回へ、確かな自信がこもっていた。【古川真弥】

 [2009年10月25日7時58分

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