<ソフトバンク4-2中日>◇29日◇福岡ヤフードーム
打ち出の小づちならぬ、勝利を呼ぶバットだ。ソフトバンク山崎勝己捕手(27)が、値千金の2号ソロを放った。シーズン2本塁打はプロ10年目で初めてだが侮るなかれ。山崎がヒットを記録した試合は、今季17勝2敗。リードでも先発和田の好投を引き出す活躍。攻守で存在をアピールだ。
その瞬間、一塁側ベンチがドッと沸いた。5回裏。先頭打者の山崎が左中間スタンドへ、貴重な追加点となる2号ソロだ。驚きの表情を浮かべながら秋山監督が出迎えた。「勝己があそこで、オイっていうのが効いたね」。ベンチがお祭り騒ぎになるのも、無理はない。09年まで1軍出場298試合(555打数)で1本塁打だった山崎が、好投していた中日チェンの直球を見事に打ち砕いたのだ。
ただ、10年の山崎は怖さがある。山崎が安打を放てば、これで17勝2敗。まさに、勝利を呼ぶバットなのだ。もちろん、恐怖のデータには裏付けがある。この日の狙いは、試合前のミーティングでスコアラー陣から渡されたデータをもとに、直球1本。1打席目は初球セーフティーバントを試み、打てなかった(見逃し)。仕切り直しの2打席目。初球フルスイング。「なかなか打撃は読み通りにいかないんですよね」と言うが、高めの球に力負けせず、最深部へと放り込んでみせた。
努力が実り始めている。普段の練習で気をつけているのは「(バットの)ヘッドが寝るクセがあるので、それを直すことをやっている」。構えのとき、背中を反らすような動きも、その一環。もっとも、“本業”のリードでも怠らない。交流戦開幕カードだった5月12、13日の中日2連戦では、先発マスクが田上だったため、守備出場は2イニングだけだった。だが、データを洗い直し、先発和田の好投を引き出すなど中日打線に連打を許さなかった。
「捕手としてチームの勝利が一番うれしい」。盗塁阻止率は3割9分だが、盗塁刺16度はリーグトップ。この日3回表に荒木の二盗を防ぎ、ピンチを未然に防いだ。「それが武器なので」。派手さはないが、勝利を呼ぶ秘訣(ひけつ)を、山崎は心得ている。
[2010年5月30日11時27分
紙面から]ソーシャルブックマーク




