<ソフトバンク1-1楽天>◇27日◇Kスタ宮城

 次は勝つ!

 ソフトバンクの3年目右腕、岩崎翔投手(20)が楽天戦で自己最長の7回2/3を1失点に抑える好投を見せた。プロ初勝利こそ逃したが、四球を1個にとどめて制球力もアピール。山田、ダービンに続く「第3の新星」の登場で、先発枠6人の確保にようやくメドが立った。チームは今季9度目の延長戦の末、1-1で3度目の引き分け。2位ロッテにゲーム差なしと迫った。

 強まった雨さえ、心地よかった。188センチの長身をずぶぬれにしながら、岩崎は確かな手応えを胸に小走りでマウンドを降りた。自己最長7回2/3を1失点。プロ初勝利を逃したのは、もちろん心残りだ。それでも将来のホークスを担う20歳右腕にとって、飛躍のステップになる1日だった。

 岩崎

 全体を通して力のある球を投げられたし、いい感触をつかむことができた。今後の自信になる登板にできた。

 未来のエース候補にふさわしい投球だった。1回先頭の聖沢にいきなり二塁打を浴びても動じない。犠打後の1死三塁から鉄平をフォークで一ゴロに打ち取り、中村紀も三直に仕留めた。「あれで波に乗れた」。以降は5回2死まで1人の走者も許さず、試合をつくった。四球も1個だけ。最速147キロの直球に加え、110キロ台のカーブやチェンジアップなど、あらゆる球種でストライクが取れた。7回2死二塁から内村に許した同点打も、内角低めのカーブを打たれたもので、甘い球ではなかった。

 岩崎

 気持ちで負けないようにした。フォームとか、細かいところを考えないように投げた。

 たとえピンチでも、まゆ1つ動かすことはなかった。気迫の投球は、今年1月の自主トレで師事したかつてのエース斉藤から受け継いだものだ。同じ長身右腕として「練習の時から120%の気持ちでやれ」などと助言を受け、過去の試合をDVDで見てフォームを参考にした。フォークも今季から解禁した。2軍で右肩リハビリ中の「師匠」には、通算5度目の先発を前に「もう(2軍に)戻ってくるな」と送り出された。

 チームはあと1点が取れず、勝てば50日ぶりの2位に浮上するチャンスを逃した。首位西武との差も4ゲームに広がった。だが、杉内、和田、小椋、山田、ダービンに続く先発6人目の男が出てきたのは大きい。秋山監督も「いい投球をしていた。自信を持って、次もね」とローテ入りへ合格点をつけた。試合後にシャワーを浴びた岩崎は、端正なマスクを引き締めて誓った。「この試合をムダにしないように、次は絶対に勝てるようにしたい」。仙台の雨は洗い流しても、胸に芽生えた自信が消え去ることはない。

 [2010年6月28日11時52分

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